2013年11月26日

オオハクチョウの幼鳥保護

11月24日に開催していた『トンボフェスティバル』のイベント中に、

「口に血の付いたハクチョウが、駐車場に居るから保護して。」という連絡が入り、

捕獲保護を行ってきました。

オオハクチョウの幼鳥保護

現場では、知り合いの御家族と、近所の子ども達が、ハクチョウを見守っていて

周辺には、ハクチョウが食べていたという紅かるかんがあり、

道路と土の地面の駐車場の堺には、かなりの出血痕が見られました。

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近づくと、羽根を広げるしぐさをするので、

「飛ぶよ。」と声を上げると、

周りにいた子どもたちから、「飛ばん、飛ばん。」と、教えてもらいました。

それなら、なんとかなるかもと、持ってきた大きな段ボールを、切って広げ

壁のように立てかけながら、ハクチョウが逃げるスペースを徐々に狭めながら、

タイミングを見計らって、頭を覆うように上着を被せて、大きな体を押さえこみました。

オオハクチョウの幼鳥保護

灰色の体色から幼鳥だと判断出来ますが、身近な鳥ではないオオハクチョウは、

とても大きく感じるし、逃げられないように捕獲しようと考えると、

益々、緊張しましたが、口元の出血と、飛べないという状態は、

このハクチョウの子どもにとって、命にかかわる緊急事態だと思い必死でした。

オオハクチョウの幼鳥保護

当日は、日曜日だったので、沖縄県の自然保護課に連絡できるのは、

明日以降になると判断し、保護したハクチョウは、イベント終了後に、

ホタル館で保温しながら様子を見て、翌朝、沖縄本島の動物病院へ空輸しました。

オオハクチョウの幼鳥保護

離島の野鳥保護のために、県自然保護課の担当の方々やJTAの空輸を支えるスタッフの皆様の

お蔭で、これまでもたくさんの野鳥の命が救われてきました。

本当にありがとうございます。

オオハクチョウの幼鳥保護


この時期は、ハクチョウだけに関わらず、野生の水鳥たちは、ごくごく稀ですが、

鳥インフルエンザを保菌している可能性もあります。保護の際も、輸送の際も

最善を尽くして安全に保護・輸送できるように心がけています。

でも、元気なのに保菌している場合もあるので検査は欠かせません。

保護したハクチョウは、インフルエンザは陰性で大丈夫との連絡があり安心しましたが、

ケガをした上、酷い空腹状態で衰弱し、ハクチョウの容体は非常に悪いとのことでした。

オオハクチョウの幼鳥保護


通常、野生の鳥のインフルエンザが

直接人に感染するという事は、ごく稀な場合を除き、起こりませんが、

感染した鳥の糞が、人の靴底や、車両の乗り入れの際に張り付いて、

鳥小屋や養鶏場などに運ばれると、小鳥やニワトリ、アヒルなどがインフルエンザに感染する

可能性が高くなります。東南アジアや中国などでは、豚などの家畜やペット、

生きたニワトリ、アヒルなどとの間で変異が進み、高病原性鳥インフルエンザウィルスへと

変異してしまう事が知られています。

そのような問題のある保菌鳥が久米島にも飛来する事も、想定しておかなくてはなりません。

「まさか、ひやぁ~。びっくり!」と軽んじる気分は、誰しもありますが、

万が一、事態が深刻になった場合がーんを想定し、備えることは大切です。

オオハクチョウの幼鳥保護

ハクチョウを捕獲保護した現場の近くは、農業用のため池やダム湖があり、

冬の時期には、野生の渡り鳥が多く飛来します。ダム湖には本来人が入り込むことはないので、

人との接触はないのですが、カンジンダム湖では、湖内に造られた浄化施設である棚田維持の

ために、人の立ち入りを想定していますので、通常は、できるだけ人との接触を避けるために、

人を立ち入らせない配慮をしてもらっています。

久米島の自然環境を保全する事や、地球環境の生きもの達の生態系バランス

やシステムにとって、季節ごとに渡り鳥が、この島に利用し飛来することは避けられません。

しかし、この時期は、鳥インフルエンザの発生の危険も増すため、

私たち人間は、野生の生きもの達との賢い関わり方で、身を守る必要があります。

オオハクチョウの幼鳥保護

草刈りなどの管理作業はもちろん、人や車など、ダム湖周辺への出入りはできるだけ避けて、

静かに見守る時期として考えています。

また、飛べない野生の鳥を見つけた場合は、むやみに捕獲をせずに、

とにかく早急に、役場の環境保全課か、久米島ホタル館へ連絡してください。

生きもの達の命は、発見と治療が早ければ、助かる可能性が高くなりますし、

私たち人間の暮らしにとっても、目に見えない危険な状況を最小限に抑え、

拡散することなく回避する事が可能になります。

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ぜひ、多くの皆さまの御協力をお願いいたします。

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