ホタルの国から　　　～久米島・南西諸島　　沖縄の小さな島～　　

四方を山に囲まれた、ホタルの国は、

街の灯りや、港の灯台、漁船などの明かりが届かないため、真っ暗闇の世界になります。

見るために必要だと思われる灯り、

けれど、光りそのものを見るためには、それが障害になってしまいます。

暗闇の世界は、体験することが滅多にないだけに、

普段経験しない不安・恐怖といった心の葛藤を瞬間的に呼び起こします。

でもやがて、暗闇に慣れ、足下の小さな灯りに気が付くとき、不思議な世界が始まるのです。



この時期、まだまだ小さなたくさんのホタル幼虫は、

夜になると、活発に活動し光りを灯しながら歩き回っています。

枯れ葉や草の陰に隠れたりするため、光りがついたり消えたりとても美しく見えます。

突然、いくつものホタルが現れては消えていきます。これ、すべて雄のオキナワスジボタル。



オキナワスジボタルにとっては、羽化した雌探しに余念がないだけですが、

私達には、アトラクションのように楽しめます。

堅い前翅に筋があるので、スジボタルという名前が付いていますが、

雄の飛び交う様も筋を引くような軌跡を残すので、覚えやすい名前です。

夏のこの時期に、時折降るスコールのような雨と、

保全された谷筋の湿度の高さが、美しいホタルの舞を演出させます。

特に、雨が降った後の空気は澄んで清らかなため

星空とホタルの光が、いつにもまして美しく感じられるのです。

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