2012年04月09日

猛毒パリトキシンをたくわえるイワスナギンチャク

「アオブダイを調理して食べた長崎県の男性が

食中毒の疑いで亡くなったらしいぞ・・・。」と、

台所仕事をしている私の耳に、毎日の報道を知らせてくれる夫の緊張した声が響いた。

猛毒パリトキシンをたくわえるイワスナギンチャク

「アオブダイって、イラブチャーの事だよね、あの美味しい魚に毒があるの?」

信じられない思いで聞き返すと、夫は、その報道の続きを読んでれました。

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「原因は、調理して食べたアオブダイが、

パリトキシンを持つスナイソギンチャク類を食べていたらしいよ。」という事です。

魚の中毒っと言えば、直ぐに思い浮かぶのは、”シガテラ中毒”なので、

”パリトキシン”という毒物の名前と、イソギンチャクは知っていたけど、スナイソギンチャク?

という名前も初めて聞きました。

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でも、スナイソギンチャクは、実は海に行く度に、結構目にしている生きものでした。

そして、このスナイソギンチャクが蓄えているというパリトキシンという毒は、

1960年代にハワイで発見されてから、数ある海洋動物の毒の中でも最も猛毒であり、

その構造の複雑さでも、世界の天然物化学者が、魅了されているそうです。

パリトキシンが発見された時、毒物という恐ろしさを裏付けるような言い伝えがあったそうです。

猛毒パリトキシンをたくわえるイワスナギンチャク

ハワイには、Iimu-make-o-Hanaという有毒生物がいて、

古来矢毒に使用されたと伝えられています。

Iimu-make-o-Hanaとは、マウイ島にあるHanaという土地の猛毒の海藻という意味で、

その生息地は秘密とされ、さらに採取するものには、

災いがあるというタブーによって守られていました。

当時、シガテラの起源生物は、不明でしたが、ハワイ大学のバナー博士とヘルフリッヒ博士は、

この猛毒海藻が、シガテラの起源ではないかと考え、いろいろな情報をもとにして、

Iimu-make-o-Hanaの生息地を突き止め、1961年12月31日に現地に付き、

災いを恐れる住民の制止を振り切って採取しました。

猛毒パリトキシンをたくわえるイワスナギンチャク

ところが、採取を終えて、オアフ島に帰ると、

博士たちの所属していたハワイ大学海洋研究所の主研究棟が、

原因不明の火災で消失していたそうです。

それが、バリトキシン発見にまつわるエピソードの”祟り話し”として

伝えられているそうです。

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東京水産大学 塩見一雄教授と、長島裕二助教授 共著の

『海洋動物の毒』ーフグからイソギンチャクまでーの”パリトキシンの発見とたたり”より

パリトキシンの毒性の強さは、海産物中最強毒素の一つとされていて、

腔腸動物のイワスナギンチャクが産生する毒であり、これがアオブダイに食べられて

蓄積したものだと考えられています。

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沖縄でも、”カワハギの内臓をブタに与えると死んでしまうという。”といった

経験値に基づく、海洋生物毒から暮らしを守る言い伝えがあります。

こうした話を耳にする度に、人と生きものの食物連鎖を、強く実感します。

私たち人間が、これまで生きてきた過程に、

どれほど多くの生きものたちとの関わり方があったのだろうかと、

そして、滅多に起こることのない不幸な事故に、驚きと悲しみが入り混じります。

猛毒パリトキシンをたくわえるイワスナギンチャク

こうした出来事から、犠牲者を少なくするために、化学の解明が、進むことを祈ります。

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