2009年12月05日
ヤンバルの森のカムフラージュ
もう、お解りですね。
この蝶々は、ウスイロコノマチョウ、枯葉チョウの方が、聞き覚えがあるかもしれません。
生きもの達は、自然の世界で、捕食者から身を守るように、
そして、反対に、獲物に気づかれないようにしながら、
まるで、自然の中に溶け込んでしまうように、上手なカモフラージュをして生きています。
(カモフラージュ:英語、カムフラージュ:フランス語)
子ども達は、他にも、遠くの梢で、ざわつく葉っぱを指差して
「あそこに、カメムシ(ナナホシキンカメムシ)がたくさんいるよ!」
「え~?どこ?」
「あそこに、光をあててみて、よ~く、見えるからサ。」と、森の風景を、
いろんな見方で、楽しむ方法を教えてくれます。
おそらく・・・ナナホシキンカメムシは、標本にする時、酢酸エチルの中では緑色、
そこから出すと、一気に変色する(青色になる)ので、化学変化する色素色を兼ねた
タマムシと同じ光の反射も利用できる構造色を備えた特別なカメムシなのかもしれません?
暗がりでは濃い緑色でカモフラージュを、光が当たるところでは輝く橙色(金色)で
カモフラージュを兼ねながら、敵を撃退する匂いを武器に警告色の役割もしているのでは・・・。
カマキリなどの捕食昆虫にはカモフラージュで身を隠し、
鳥などの捕食者には匂いを武器に警告色といった、使い分けをしているのかも知れません。
沖縄の山は、本土の秋景色のようにダイナミックな、紅葉や黄葉とは違って、
緑と茶色を基調にしながら、アクセントのように、僅かな朱色や瑠璃色が、
より一層のミドリという色の深みを際立たせ、生命の力強さを漂わせる魅力があります。
生き生きと、きらめく瞳の子ども達と歩く、自然の世界は、本当に楽しく美しいものです。
「ジャ、ジャ~ン、コガタスズメバチの巣発見!」
「え、うそ~ぉ、うわぁ、ほんとだぁ!」
生きもの達は、姿だけではなく、その巣のカモフラージュも、
すごく芸術的で、すごく合理的。
太陽の光が差し込む場所や時間、空間の隙間を、本当によく利用しています。
風景に溶け込む形や色は、いったいどうやって作り出しているのでしょう。
もちろん恐いスズメバチですから、当然のごとく警告色の役割もしています。
スズメバチの事を、方言では、チブルバチと言います。
チブルは、方言で、頭の事、なるほど、大きな頭の目立つハチにぴったりです。
でも、久米島には、スズメバチ類は生息していません。久米島でチブルバチと表現しているのは、
少しスタイルが似ている小型のキアシナガバチのことです。
このハチの黄色と黒の色彩は、先ほどの上手にカモフラージュしていたウスイロコノマとは
正反対のとても目立つ色彩です。
この自然の世界で、警告色を身につけながら、スズメバチ達は、
生き残る方法を見出したのでしょう。
そして、彼女達の大切な巣は、とても大きな割には、
目立たないようなカモフラージュ効果も施しています。
自然の世界に足を踏み入れる度に、その複雑で、不思議な世界の広がりに、
自分の生きている時間だけでは、足りないくらいの、”素敵”に出会えます。
そして、その幸運に出会うたびに、この美しい世界を守り継承してゆくことの、
切実な想いが、鍛えられ、揺るぎ無きものになる事を感じます。
最近、ずいぶん沖縄のおばぁに近づきつつあり、自分自身を逞しく感じるのですが、
それでも、泣き上戸だけは、相変わらずです。
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Posted by satou-n at 10:59│Comments(0)
│ホタルとつながる生きもの達
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