ホタルの国から　　　～久米島・南西諸島　　沖縄の小さな島～　　

この川を下るための入り口は無く、道路の脇から藪の中に分け入って、

腰をかがめながら、川筋を辿らなくてはいけません。



4人のメンバーは、もちろんですが、重いカメラや撮影用の機材を持ち歩くスタッフさんに

申し訳ない想いでしたが、私と館長は、赤土の流出が、久米島の住民にとって

どれほどの痛手を与えるかということを、短期間で知ってもらうには、

久米島町民の生活飲料水を担う、この川の現状を見てもらう事は外せないと考えたのです。



この川は、白瀬1号ダムの源流で、片道およそ、1時間30分ほどかかります。



以前、環境省の職員と、息子達が一緒に歩いた際に、

川の行き着くダム湖に、堆積した赤土の量の多さに、驚愕してから、機会のあるごとに

この状況を、改善する事に希望を持って、人を案内しています。




「うっそー、ここから入るの～。」メンバーは、予想通りの反応ですが、

おそる、おそるでも、私の後からついて来てくれます。



行く先々には、クモの巣が張り巡らされているので、

片手にクモの巣捕り様の小枝を持つことを薦め、滑って転びそうになったら

思い切って、しりもちをつくことを、アドバイスしながら、進みました。

初めは、おっかなびっくりだったメンバーも、さすがに若く、好奇心の強さもあって、

深刻な問題を抱えた、リバーウォークではあっても、体験を楽しんでくれました。



それは、適切で、正確な自然環境の状況を理解し、

案内する事を心がけている館長のおかげだと、同行するたびに、私は感心しています。

そして、こども達や、多くの人が、館長と一緒に、自然を体験する事で、

素直に、自然への感謝と、希望を持ち続けることができるのだと、想うのです。



この川には、農薬のビンや、投棄ゴミも、流れています。

それは、この川の景観を損ねるだけでなく、この川で生きている生きもの達の命も脅かします。



それでも、リュウキュウルリモンイトトンボが、飛び交い、

赤土まみれのリュウキュウヤマガメが水を飲み、耐えながら必死に生きています。



こうした、追い詰められながらも、精一杯生きている小さな生きもの達の姿からも

4人のメンバーが、あの大変な作業を行なう意義を、

汲み取ってくれたのだと、私は、想っているのです。



次回、９月１３日日曜日（午後１１時３０分）は、いよいよ後編です。

カンジンダムホタル水路の湿地を再生させる、４人の頑張りを、ぜひご覧下さい。





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