2008年05月08日
トカゲモドキ
今から、8年も前の事ですが、近所に住んでいた男の子が、
日の暮れた頃、お母さんと一緒に尋ねてきてくれて
「これ、家にいたんだけど・・・。」と
差し出した手を開いて見せてくれたのは、
沖縄本島にいた頃には、見たことも無かった『クメトカゲモドキ』でした。
初めて目にするその姿は、惚れ惚れするくらいカッコよくって、
まるで、小さな恐竜が、その男の子の手の上で
威嚇するように、私を見据えているような、そんな不思議な気持ちになったものです。
しかも、このトカゲモドキは、自宅の風呂場に出没したというのですから、
本当に驚きました。沖縄県の天然記念物が、風呂場に出没するなんて・・・!
でも、おかげで無事に保護し、山に帰すことが出来ました。

久米島ホタルの会より、ホタル観察会終了のお知らせ


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日の暮れた頃、お母さんと一緒に尋ねてきてくれて
「これ、家にいたんだけど・・・。」と
差し出した手を開いて見せてくれたのは、
沖縄本島にいた頃には、見たことも無かった『クメトカゲモドキ』でした。
初めて目にするその姿は、惚れ惚れするくらいカッコよくって、
まるで、小さな恐竜が、その男の子の手の上で
威嚇するように、私を見据えているような、そんな不思議な気持ちになったものです。
しかも、このトカゲモドキは、自宅の風呂場に出没したというのですから、
本当に驚きました。沖縄県の天然記念物が、風呂場に出没するなんて・・・!
でも、おかげで無事に保護し、山に帰すことが出来ました。




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生きもの達の名前には、『○○モドキ』なんて、付けられることがあります。
モドキというその言葉は、似せて作ったもの、まがい物、偽物という意味ですが、
なかでも、本物ではないという使い方には、抵抗を感じてしまいます。
でも、その含みは、妙に印象深く、名前に用いられると、記憶に残りやすい気がします。
トカゲに似ているのですが、ヤモリの仲間なので、トカゲモドキ(トカゲではありません)。
なにやら少しややこしい解説になりますが、
説明としては、「~ではありません」と言い換えると、わかりやすくなるような気がします。

吸血している虫は、サシチョウバエの一種です。
トカゲモドキは、ヤモリの祖先の姿をとどめ、目にはまぶたがあり、閉じることができます。
ヤモリの方は、まぶたが無く、目を閉じることができないため、舌で目の掃除をします。

目の掃除をするミナミヤモリ
足指の裏にもひだが発達していないので、垂直の壁をよじ登ることができません。
夜行性で、動きが鈍く、危険が迫るとジッと動かず、尾だけをくねらせ、
攻撃目標をそらすしぐさをします。
そして、危険と判断した瞬間、いきなり脱兎のごとく走り始めるのです。
その、ちょっと予測の付かないユニークな生きものであるトカゲモドキですが、
日本では、琉球列島の中琉球と呼ばれる地域の一部の限られた島にしか生息していません。
種類:クロイワトカゲモドキ・・・沖縄県や鹿児島県の天然記念物で5亜種に分けられている。

■亜種:クメトカゲモドキ(ヤマシナトカゲモドキ)・・・久米島
■亜種:イヘヤトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊平屋島
■亜種:オビトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・徳之島
■亜種:マダラトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡名喜島、渡嘉敷島、阿嘉島、伊江島
■亜種:クロイワトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・沖縄島、瀬底島、古宇利島
久米島にだけ生息している亜種のクメトカゲモドキ(ヤマシナトカゲモドキ)は、
5亜種あるクロイワトカゲモドキの中で最も原始的で古い形質を残しているとされ、
目の色が、他の亜種では赤みを帯びるのに対し、黄色(金色)で、
マダラトカゲモドキやクロイワトカゲモドキのように縦筋模様が入ることはなく、
オビトカゲモドキが3本の横筋、イヘヤトカゲモドキやマダラトカゲモドキが3、4本の横筋が入る
のに対し、クメトカゲモドキは4本の横筋が入り、その間の黒い帯の部分には、
黄色い小班がいっぱい見られます。伊平屋島のものや徳之島のものとは帯の色や
小班の入り方がずいぶん違っています。


クメトカゲモドキ(ヤマシナトカゲモドキ) イヘヤトカゲモドキ


オビトカゲモドキ マダラトカゲモドキ


亜種クロイワトカゲモドキの成体 亜種クロイワトカゲモドキの幼体
外観だけでも、進化の方向をうかがい知ることができる貴重なヤモリですが、
今では、絶滅が心配されている種類で、森林環境の消失や改変、劣化、密猟といった原因に加え、
マングースやイタチ、ネコ、ウシガエルといった外来種の捕食も大きな問題になっています。
近所の昔ながらの瓦屋や、古い墓の中で見つかることも多く、
ハカヤールー(墓ヤモリ)という方言でも呼ばれることがあります。
この島では、ヘビであるクメジマハイの方言、ハイウマトーサー(走る馬を倒す)が、
このクメトカゲモドキを指すこともあり、不思議に思って、島の人に尋ねると、
しっぽを下から、そり上げるしぐさが、サソリに見え、
しかも、そのしっぽに刺されると、死ぬこともあるという噂が、あるらしいのです。

コブラ科のクメジマハイ クサリヘビ科のハブ類同様、飼育には沖縄県の許可が必要です。
なるほど、その噂に惑わされた人々は、この生きものを、
必要以上に恐れ疎ましく、思ってしまったのでしょう。
以前、館長が撮った写真のクメトカゲモドキのアングルが、面白くて
「目がおこってる~♪」の話を書きましたが、
私たちは、生きている限り、人や生きものとの出会いがあります。
その出会いを、楽しくすることも、つまらなくすることも、
私達自身の感じる、脳のクオリアの世界の出来事です。

そして、その楽しみは、決して独りよがりではなく
私達を取り巻く、地球上の多くの生命の喜びに裏付けられたものであることが、
絶対条件となっていることを、
この不思議で、美しいと感じる生きものを目にするたび、
私の心はコクンと、頷くのです。


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モドキというその言葉は、似せて作ったもの、まがい物、偽物という意味ですが、
なかでも、本物ではないという使い方には、抵抗を感じてしまいます。
でも、その含みは、妙に印象深く、名前に用いられると、記憶に残りやすい気がします。
トカゲに似ているのですが、ヤモリの仲間なので、トカゲモドキ(トカゲではありません)。
なにやら少しややこしい解説になりますが、
説明としては、「~ではありません」と言い換えると、わかりやすくなるような気がします。

吸血している虫は、サシチョウバエの一種です。
トカゲモドキは、ヤモリの祖先の姿をとどめ、目にはまぶたがあり、閉じることができます。
ヤモリの方は、まぶたが無く、目を閉じることができないため、舌で目の掃除をします。

目の掃除をするミナミヤモリ
足指の裏にもひだが発達していないので、垂直の壁をよじ登ることができません。
夜行性で、動きが鈍く、危険が迫るとジッと動かず、尾だけをくねらせ、
攻撃目標をそらすしぐさをします。
そして、危険と判断した瞬間、いきなり脱兎のごとく走り始めるのです。
その、ちょっと予測の付かないユニークな生きものであるトカゲモドキですが、
日本では、琉球列島の中琉球と呼ばれる地域の一部の限られた島にしか生息していません。
種類:クロイワトカゲモドキ・・・沖縄県や鹿児島県の天然記念物で5亜種に分けられている。

■亜種:クメトカゲモドキ(ヤマシナトカゲモドキ)・・・久米島
■亜種:イヘヤトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊平屋島
■亜種:オビトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・徳之島
■亜種:マダラトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡名喜島、渡嘉敷島、阿嘉島、伊江島
■亜種:クロイワトカゲモドキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・沖縄島、瀬底島、古宇利島
久米島にだけ生息している亜種のクメトカゲモドキ(ヤマシナトカゲモドキ)は、
5亜種あるクロイワトカゲモドキの中で最も原始的で古い形質を残しているとされ、
目の色が、他の亜種では赤みを帯びるのに対し、黄色(金色)で、
マダラトカゲモドキやクロイワトカゲモドキのように縦筋模様が入ることはなく、
オビトカゲモドキが3本の横筋、イヘヤトカゲモドキやマダラトカゲモドキが3、4本の横筋が入る
のに対し、クメトカゲモドキは4本の横筋が入り、その間の黒い帯の部分には、
黄色い小班がいっぱい見られます。伊平屋島のものや徳之島のものとは帯の色や
小班の入り方がずいぶん違っています。


クメトカゲモドキ(ヤマシナトカゲモドキ) イヘヤトカゲモドキ


オビトカゲモドキ マダラトカゲモドキ


亜種クロイワトカゲモドキの成体 亜種クロイワトカゲモドキの幼体
外観だけでも、進化の方向をうかがい知ることができる貴重なヤモリですが、
今では、絶滅が心配されている種類で、森林環境の消失や改変、劣化、密猟といった原因に加え、
マングースやイタチ、ネコ、ウシガエルといった外来種の捕食も大きな問題になっています。
近所の昔ながらの瓦屋や、古い墓の中で見つかることも多く、
ハカヤールー(墓ヤモリ)という方言でも呼ばれることがあります。
この島では、ヘビであるクメジマハイの方言、ハイウマトーサー(走る馬を倒す)が、
このクメトカゲモドキを指すこともあり、不思議に思って、島の人に尋ねると、
しっぽを下から、そり上げるしぐさが、サソリに見え、
しかも、そのしっぽに刺されると、死ぬこともあるという噂が、あるらしいのです。

コブラ科のクメジマハイ クサリヘビ科のハブ類同様、飼育には沖縄県の許可が必要です。
なるほど、その噂に惑わされた人々は、この生きものを、
必要以上に恐れ疎ましく、思ってしまったのでしょう。
以前、館長が撮った写真のクメトカゲモドキのアングルが、面白くて
「目がおこってる~♪」の話を書きましたが、
私たちは、生きている限り、人や生きものとの出会いがあります。
その出会いを、楽しくすることも、つまらなくすることも、
私達自身の感じる、脳のクオリアの世界の出来事です。

そして、その楽しみは、決して独りよがりではなく
私達を取り巻く、地球上の多くの生命の喜びに裏付けられたものであることが、
絶対条件となっていることを、
この不思議で、美しいと感じる生きものを目にするたび、
私の心はコクンと、頷くのです。


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Posted by satou-n at 18:18│Comments(2)
│ホタルとつながる生きもの達
この記事へのコメント
はじめまして(^0^)b
トカゲモドキってトカゲにもヤモリにも似ている変わった生き物なんですね!
今日、OTVの「河川環境シリーズ」で紹介してたところですよね!?
トカゲモドキってトカゲにもヤモリにも似ている変わった生き物なんですね!
今日、OTVの「河川環境シリーズ」で紹介してたところですよね!?
Posted by プラティ at 2008年05月08日 20:55
プラティさん、コメントありがとうございます。
はい、OTVの「河川環境シリーズ」で、紹介していただいたホタル館です。
久米島に来られた際は、ぜひ、お立ち寄りくださいネ!
はい、OTVの「河川環境シリーズ」で、紹介していただいたホタル館です。
久米島に来られた際は、ぜひ、お立ち寄りくださいネ!
Posted by satou-n at 2008年05月09日 18:16
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