2008年06月03日

アカショウビンとウグイスの放鳥

メジロの雛に引き続き、ホタル館には、連日、傷病鳥や

草刈作業中に出現したハブの引き取りの連絡が絶えません。

そうした毎日を、支えているのは、保護された生きもの達を、

元気に島の自然へと、返す事が出来る一瞬の、

例えようも無い至福の時を、この手に感じる事が出来るからなのかもしれません。

この日、放鳥したアカショウビンは、その後もホタル館周辺を

元気一杯に特徴的な声を張り上げながら、飛び回っています。

アカショウビンとウグイスの放鳥

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アカショウビンとウグイスの放鳥

このアカショウビンは、地元の女性が、自宅の庭の窓ガラスにぶつかって

動けなくなっていたところを、保護して、町役場に連絡したところ、

『久米島ホタル館』を紹介されたのだと言います。

アカショウビンとウグイスの放鳥

アカショウビンの分布は、インドから朝鮮半島南部、

北方のものは、フィリピンなどに渡ります。

日本では、九州以北に亜種アカショウビン、南西諸島に亜種リュウキュウアカショウビンと

2亜種に分かれていて、夏鳥としてほぼ全国に渡来し、

久米島では、4月下旬から出現し始め10月ごろまで、見かける事ができます。

「キョロロロロ~ッ」と高音域の鳴き声と、直線的な飛び方が特徴的な、赤い鳥は、

南国的で濃厚な緑の森によく似合っています。

アカショウビンとウグイスの放鳥

セミやトカゲ、カエルなどの森の小動物だけでなく、

川の魚やカニ類も大好きで、あまり人を怖がらず、愛嬌のある雰囲気から、

沖縄の妖怪として有名な「キジムナー」のモデルだという説もあるのです。

「アカショウビンを保護するのは、2回目で、以前は、こんな風に鳥を引き取って

面倒を見てくれることは無かったから、よかったさぁー。」

「前に保護したときは、どうしたんですか。」

「あの時は、直ぐ飛びよったから、大丈夫だったわけよぉ~。」

「保護されたときに、何か餌を与えたりしましたか?」

私が、記録シートに記入するために質問すると、少し、面倒くさそうに

「餌は、あげんけど、水は、飲ましたさぁ!」と、いう答えが返って来ました。

アカショウビンとウグイスの放鳥

アカショウビンのくちばしは、かなり大きくて、直ぐに突っつくので、

「えっ、どうやって?」と、私は、思わず聞き返してしまいました。

すると、「なんでぇ、くちばしで突付くから、その隙間に水を流しいれたら、ゴクンと、飲むさぁ。」

その答えに「大丈夫でしたか、痛かったでしょう。」と、私が言うと、

ちょっと気難しげだった私よりも幾つか年配の女性の表情が、

見る間に優しくとけだして、「あっさぁ、好きだのに、大丈夫さぁ。」と、笑顔になります。

こんな時、私は、言いようも無く、こうした人の優しさに触れることが出来る

“人間に生まれてきてよかったぁ!”と、心の底から想えるのです。

生きものの命に触れることで、島の人々と共有しあえる、

緩やかで、懐かしい、この島の時間は、どんな時にも、私を元気に、そしてやる気にしてくれます。

アカショウビンとウグイスの放鳥

アカショウビンを放鳥した翌日には、アイランドホテルのフロントから、

気さくな雰囲気の電話が入りました。

「すいませ~ん、今朝、緑色の鳥を、保護したので、お迎えを、お願いしま~す。」

「お迎え。」のコメントに、笑い出したくなるのをこらえて、様子を聞くと

ホテルの窓ガラスにぶつかって、動けなくなったところを保護していると言います。

アカショウビンとウグイスの放鳥

数分後にホタル館に持ってこられた緑色の鳥は、リュウキュウウグイス、もしくは

ダイトウウグイスだと思っていたのですが、

下記のコメントにより、エゾセンニュウであることが解りました。

軽い脳震盪をおこしていただけのようで、直ぐに元気を取り戻し

ホタル館の芝生の広場に降り立った後、

アカショウビンとウグイスの放鳥

森の木立の中に、勢いよく飛び込んでいきました。

3月の渡りの季節から、繁殖の季節の4,5月にかけて多くの野鳥が保護されます。

今年は、『鳥を保護したらホタル館へ、届ける。』という連携が、浸透してきたおかげで

無事に放鳥出来ることが多く、アカショウビンやウグイスの他にも、3月には

息子の同級生のご家族が届けてくれたツグミが、ホタル館を囲む芝生へと飛び立ちました。

アカショウビンとウグイスの放鳥アカショウビンとウグイスの放鳥

どちらも、動けなくなっていた僅かな状態を、人間によって保護された事で

生きながらえる事が出来ました。

鳥が、建物の窓や壁にぶつかって、命を落とすことは、

本来、けっして自然な事ではありません。

ガラスの向こう側が透けているために、森のトンネルだと誤解して

通り向けようとしてぶつかる鳥のために、ガラスに猛禽鳥や他のシールを貼って

そうした事故から、生きもの達を守ってあげる事は、地球環境を様々な生きもの達と

共有するために、当然のマナーだと想うのです。

アカショウビンとウグイスの放鳥
  久米島自然文化センターの庭に面した窓

そうして、こうした離島などの自然環境が比較的、身近な地域で、

人間の暮らしだけを中心に捉えることなく、

生きもの達の不幸を、省みる事ができるのは、この先の未来を、

より多くの人や生きもの達と、共有して生きる潜在意識を、育む事が出来るのです。

そして、都会では、到底得る事の出来ない、豊かな時間で、

人の心の温もりを教えてくれるのは、

何よりも生きもの達の生息する自然環境に勝るものはありません。

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この記事へのコメント
いつも楽しくブログ拝見させていただいてます。
先日のイルカレスキューといい、今回のアカショウビンといい、人間が環境をいじって、迷惑かけてること反省しなくてはいけませんね (「・_・)
久米島には3回パヤオの鮪釣りに行ってますが、年々魚影も少なくなってきてる気がします。
小さいといっても、本土では見ることがない魚種なので、ついついキープしてしまう心があかんね m(_ _)m ゴメンナサイ
自然環境保護の為にも、キープサイズを決めて釣りを楽しむよう心がけいたします。
根絶やしは絶対やってはいけないルールですもんね f(^_^; ポリポリ
Posted by 明後日のジョー at 2008年06月03日 21:51
思わずコメント書いてしまいました。

明日、島に短い里帰りします〜

ホタル館…
実は行ったことないので、子供連れて遊びに行ってみようカナァ(-^▽^-)
Posted by 島ッ子 at 2008年06月04日 14:07
明後日のジョー さん、コメントをありがとうございます。

「自然環境保護の為にも、キープサイズを決めて釣りを楽しむよう心がけいたします。
根絶やしは絶対やってはいけないルールですもんね 」
おっしゃるとおりだと想います。
本気で釣りやアウトドアを楽しむためには、後ろめたい想いを抱きながらでは
自分自身、そして大切な人に、その真髄を伝える事などできないのではないでしょうか。
これからも、その心意気で、よろしくお願いしますね!


島ッ子さん、コメントありがとうございます。

ぜひ、久米島ホタル館へ、お立ち寄りください、お待ちしていま~す。
Posted by satou-nsatou-n at 2008年06月04日 20:23
 鶯の顔、こちらのとまったく違うのが改めて驚きです。
 頑丈そうな嘴が、見たことない顔つきで(笑)。

 硝子窓、どうも風景が映るのも良くないらしいです。
 と云いますのは、(昔学校の校舎で)同じ面がずっと並んでいるのに、やけに小鳥がぶつかる一角があって、何でと思っていた処、午後になると向かいの樹林がそこだけに映っておりました。
 どうも、「そこ」も森だと思って飛び込んで来てしまう?模様でした。

 すっかり梅雨で虫にも中々出会えずにおりますが、先日、仲良くツバメとおそろいで泥をとるイワツバメを、久しぶりに見ました。
 相変らず可愛いです。
Posted by 川逸 at 2008年06月05日 23:40
ホタル館のみなさん、こんばんわ!4月にはお世話になりました!
今ブログの写真を拝見していたのですが、リュウキュウウグイスとされている鳥さんはエゾセンニュウだと思います。
私が某N嶺D物クリニックに居たときにも必ず6月10日前後に保護されてきました。識別は困難ですが、過去の経験から見てもエゾセンニュウに間違いないと思います。
Posted by 伊豆大島のヤンバルクイナ at 2008年06月10日 23:40
伊豆大島のヤンバルクイナ さん、コメントと、ご指摘、ありがとうございました。

この鳥の名前については、川逸さんからのご指摘が、あったため、図鑑をめくりながら、ここ数日の間、ずいぶん悩んでいました。

先週、動物取り扱いの研修会に参加するために沖縄本島に出かけ
N嶺D物クリニックの沢村一樹似のDrからも、「鶯の仲間の識別は、ずっと観ている人でも、難しいよ。」と言われ、伊豆大島のヤンバルクイナ さんに連絡したいと思っていた矢先に、コメントが入り、ほっとしました。
本当に、ありがとうございます。

 PS: 写真入り、葉書が、届きましたヨ♪ 「おめでとうございます!」
Posted by satou-nsatou-n at 2008年06月11日 00:32
川逸さん、コメントを、ありがとうございました。

ご心配されていた、リュウキュウウグイスは、どうやらエゾセンニュウです。というご指摘を、獣医師さんから受け、訂正いたしました。

野鳥の観察暦が長い、川逸さんからのアドバイスは、本当に頼りになります。ありがとうございました。

今後も、図鑑を片手に、印象にごまかされないよう、がんばります。
Posted by satou-nsatou-n at 2008年06月11日 00:52
私のは観察というより、単に眺めていただけなので・・
 (収容された鳥たちにはいささか申し訳ないですが、)虫と違い間近で見る機会がないので、いつも様々なお写真が鮮烈です。
 どこか遠い印象でしか知らない生き物の新鮮さなど、ひとしお感じております。
Posted by 川逸 at 2008年06月11日 20:59
ホタル館の皆様こんばんわー。
ご祝辞いただきありがとうございました。

エゾセンニュウについて・・・自分も人生半分以上鳥を見ていますが、実際に野外で見るのと手にとって見るのとでは全然印象が違って見えます。長M動Bクリニックではじめて救護されてきたエゾセンニュウを見たときは僕も変なウグイスだなぁ・・・と思いました。(尾羽も全部抜けてたし(^▽^;))悩んでいるところにちょうど現れたバンダーのK城M男氏が一目見て「エゾセンだよ。」と教えてくれました。なので2回目に保護したときは一目見てすぐわかりました。

これで久米島でも次回からは迷いませんね!?
Posted by 伊豆大島のヤンバルクイナ at 2008年06月15日 19:08
川逸さん、コメントありがとうございました。

お察しのとおりです。
遠くから眺めていた生きもの達を、間近で見る新鮮さと、確かな命の鼓動を聞く毎日に、深い感謝と、責任を、喜びと共に感じています。
この感動を、少しでも伝える事ができればと、想います。


伊豆大島のヤンバルクイナ さん、コメントをありがとうございました。

ある意味、保護されてくる生きもの達によって、私の識別能力は、確かに高まっています。今回のエゾセンニュウも、良い機会でした。
何時も想っているのですが、館長を筆頭に、私の周囲には、大変優れた専門家の方々が、本当に心のこもったアドバイスをしてくれます。
未熟な私は、『自然を守りたい』と願う、多くの方々の純粋な想いに支えられて、こうした活動ができる事に、心から感謝しています。
本当に、ありがとうございます。
遠くなってしまいましたが、これからも、ご指導、どうかよろしくお願いします。
Posted by satou-n at 2008年06月16日 09:12
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