2007年10月21日

赤とんぼの季節

暖かな沖縄の島々に、『秋本番です。』と、教えてくれるのは、

“ミーニシ”と呼ばれている、大陸から吹いてくる季節風です。

でも、私には『いよいよ冬の訪れです。』と告げているように体感的には寒く感じます。

そして、その風に乗って、この南の小さな島に大陸からの小さな訪問者、

赤とんぼのオナガアカネが、今年も、ついにやってきました。

赤とんぼの季節

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赤とんぼの季節

風が吹くとたくさん飛ぶ沖縄で有名なトンボに、ウスバキトンボがいます。

本土では盆とんぼ、精霊とんぼ等の方言で呼ばれているトンボですが、

沖縄ではカジフキダーマー(風吹き玉)と呼ばれ、

カジフキマーレー(カジフキマーゼー)など地域で呼び方はいろいろありますが、

南風が吹いたり、低気圧や台風などが接近したときに、たくさん飛来して群れ飛び、

風が吹かなくなって、気が付くと、すっかりいなくなるトンボとして有名です。

沖縄では、厳寒期の1,2月のわずかな時期を除いて、ほぼ年中見られるトンボです。

赤とんぼの季節

昔は、トンボをいろいろ区別して、面白い表現をした方言が、多かったと思うのですが、

年配の方が今でも使う、沖縄方言(うちなーぐち)のトンボ一般の呼称、

アーケージュー(とんぼの古名であきず、あきつ、秋津島で大和国、日本国を指す言葉)も

世代で受け継がれないまま、次第に使われなくなっている気がします。

今では赤色をしたトンボ(アカマーレー)は、すべて赤とんぼと呼んで済ませていると思いますが、

赤とんぼの季節
  沖縄の赤とんぼの代表、タイリクショウジョウトンボのオス

狭い意味で、アカネ属のトンボ(最近ではアカトンボ属とも言う)を赤とんぼと呼び、

沖縄・久米島には、そのアカネ属のトンボは生息していません。

ところが、この“ミーニシ”に乗って、(まれに、台風通過時の反時計回りの風で)

大陸から飛来する赤とんぼが、数種類知られています。

今年は、“ミーニシ”が、今月15日からようやく吹き始め

一足先に到着したサシバの甲高い鳴き声を背景に

ホタル館のビオトープには、オナガアカネ(尾長茜)が現れはじめました。

赤とんぼの季節

メスの産卵弁が長いので、尾長と呼ばれているオナガアカネは、

中国東北部からウスリー、アムールにかけて生息する北方のトンボで、

南国沖縄・久米島に毎年、いつもお忍びで飛来する常連客です。

でも、風任せのその後は、どこへ旅立つのか?

おそらく、オナガアカネ自身も知らないのかもしれません。

ホタル館のビオトープは、赤とんぼにとっても、居心地の良い場所なのでしょう。

サガリバナやサキシマフヨウなど枝の先に、安心したように一日中止まっています。

そして、ユスリカなどの小さな昆虫をさかんに食べています。

赤とんぼの季節

その他にも、ウミアカトンボ(海赤蜻蛉)と言う、ウスバキトンボとよく似た小型のトンボも、

ビオトープに飛来していました。こちらのトンボは、住まいは南方、台湾から南、ニューギニアから

東南アジア、インド、アフリカ東部までの広い範囲に生息しています。

最近では、宮古島や南大東島にも住み着いているらしいのですが、

八重山から中国沿岸を北上した台風15号の風に乗って、やってきたのでしょうか。

それとも、以前の台風で飛来した子孫が無事に羽化したのかもしれません。

赤とんぼの季節

これら2種類とも今年になって初めての確認です。

さらに、「マーキングシーズン到来ですよ!」とでも、言いたげに

林間を、ひらひらと、アサギマダラが飛んでいます。

こちらも、サシバとともに飛来したのですね!

ホタル館にやってくる、子ども達が手にする網は、

そろそろエビを捕るための川用の網から、

草地用の補虫網に、変わっていきそうです。

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この記事へのコメント
高知のほうでもこの季節になりますとトンボを見かけます。
 先日もヨットで沖にでましたが、海の上にもトンボがいます。風に乗ってきたのでしょうか?

 途中で休むところなどないのに。不思議に思いました。
Posted by けんちゃん at 2007年10月23日 16:47
けんちゃん、コメントをありがとうございます。

だいぶ、返事が遅くなってしまいました。すいません。

移動中のトンボは、休むことなく2~3時間は飛び続けることが出来るらしく、その飛行速度は、研究者によれば、時速7キロメートルとも、15キロメートルともいわれています。そのうえ、ウスバキトンボは、標高6300メートルのヒマラヤでも記録されていて、海や山を越えて、飛ぶことが、広く知られています。

鳥の羽比べると、とても華奢な、翅のように思えるのですが、その翅で、季節ごとに発生するジェット気流や熱帯低気圧から、発生する台風に乗って、飛ばされながら、一気に海を渡ってくる。と、いわれていますが、
私も、けんちゃんと同じように、海を渡ってくる、昆虫達の、凄いパワーに
不思議な感動を覚えます。

けんちゃんは、そんな生きもの達の光景を実際に目にすることが、できたのですね、
素敵です!私も、そんな貴重な体験をしてみたいです。
Posted by satou-n at 2007年10月29日 07:19
薄羽黄蜻蛉、気象庁の台風観測船の記録とか、関連の論著に出てきます。ミクロネシアなどとってみても、ひろく栄えているらしいです(故リーフティンク博士の著名な論文)。
 ある面、トンボ最強(笑)の種ですね。強いて云えば、弱点は寒さだけでしょう。。。
 今年はついに、ロクにアキアカネを見ずに終わるかと思ってましたが、ある場所のみで大挙して押し寄せました。大挙して来た時、産卵だけで数百枚シャッター押しました。元々、印象や見た目程には、絶妙に撮るのは至難な種ですが、のみならず、多い瞬間にやっておかねば、「次はない」という最近の鉄則(TT)に寄りました。
 ちなみにウスバキも、交尾・産卵カットは至難です(今年も不可でした・・)。
Posted by 川逸 at 2007年10月31日 01:10
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