2007年12月04日

アサギマダラのマーキング

12月、最初の日曜日は、ぽっかぽかの小春日和、

ホタルの会の会員の親子やホタレンジャーの子どもたちが集まって

だるま山での『アサギマダラ』のマーキング会を行いました!

ホタルの会が、所有している捕虫網は、ずいぶん多くの子どもたちが、

使い込んでいるため、ボロボロになっていますが、

どの子もみんな『そんなの、カンケーネェー!』と、思い思いに

長い柄の網や短い柄の網を、手にして、森の中へと進んでゆきました。

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アサギマダラのマーキング

「捕ったー!」と大声で、次から次へと森のあちらこちらで子どもたちの声が響き渡ります。

今年は、幸先の良いスタートです。

去年は、網を振るのにもたついて、一匹の蝶も捕まえることが出来なかったのに。

アサギマダラのマーキングアサギマダラのマーキング

10月中旬頃から見られはじめたアサギマダラは、11月には、島にいっぱい飛来したらしく、

シーズン到来ですよと言いたげに、山道沿いでたくさん見られるようになりました。

タチアワユキセンダングサやツワブキの花に群がる姿は、

まるで長旅の疲れを癒しているようにも見えます。

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夏から秋(7月から9月頃)にかけて本州の高原などでふ化したチョウチョが、

海を渡り、卵を産むために1000km以上離れた、南の島々に飛んでくるなんて、

本当に驚きです。傷ついてぼろぼろの年取った雄(下左、後翅が一枚欠けています)、

まだ新鮮で若い雄も、無事に、久米島にたどり着きました。

アサギマダラのマーキングアサギマダラのマーキング

毒蝶のアサギマダラの雄は、性フェロモンの材料でもあり、

鳥などの捕食から身を守る成分である毒(ピロリジジンアルカロイド)を含んだ植物や花

に細長いストローを差し込んで吸いこみ、自分の中に取り込むことで

たとえ、ぼろぼろになっていても、雌へのアピールを増すことが出来ます

そして、その毒草のサクラランやトキワカモメヅルなどの森の中のガガイモ科のツル植物は、

次世代の幼虫の餌にもなるのです。

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  山奥の森の木にからみつく、サクララン

ホタレンジャーの男の子は、保育園の子ども達を引き連れて、

チョウチョを追いかけているのか、かけっこをしているのか解らない勢いで、

元気いっぱいに森の中へと入っていきます。

アサギマダラのマーキング

一塊になったホタレンジャーの女の子達は、小鳥のようにおしゃべりしながら

時折、ひらひらと舞い降りてくるチョウに、網を振りながら、楽しそうに歩いています。

足元には、生り年だと、はっきり言えるほど、シイの実のドングリが、

落ち葉を掻き分けなくても直ぐに見つかるので、

アサギマダラのマーキングアサギマダラのマーキング

「木の実を割ってそのまま食べてごらん。」と、参加してくれたお母さんや子ども達に

教えました。すると、「でも、虫が入っているから、食べられないって聞いてるよ。」と、

女の子達が、心配そうに伺うので、「そりゃ、虫が入っているのは食べられないけど、

虫が入ってなければ、食べられるさぁー、ハイ、食べてごらん!」そう言って、剥いた実を

口の中に放り込んであげると、「おいしぃー!」「ほんとだぁー」

そう言って、「アサギマダラ」を捕まえるよりも、足元に落ちているスダジイの実を剥いて

お猿さんのように食べることに夢中になってしまいました。

アサギマダラのマーキング

「まぁ、それもいいね。」

森の中を、ひらひらと飛ぶアサギマダラは、捕るのに失敗すると、

ほとんどが、藪の中に逃げてしまうので、後を追うことが出来なくなってしまいます。

アサギマダラのマーキング

森の奥まで行き着くと、今度は、斜面を下って川まで降りる小さな冒険が始まりました。

赤土で染まった川石は、ぬるっとして滑るため、小さな子ども達は、

お母さんの手を頼ろうとするのですが、そうすると、

自分自身の体重バランスをとることができません。

「だいじょうぶだよ、両手を着いて、足で触って、あなたの身体を信じなさい。」

すると、男の子も女の子も、岩から岩を、楽しそうに渡り始めます。

ドロでズボンや両手を汚しても、笑顔には、輝きが増してゆきます。

アサギマダラのマーキングアサギマダラのマーキング

「さあ、今度は、帰り道で、アサギマダラをマークするぞ!」

ハクサンボクの紅い実に目を奪われる大人や

子どもたちが上手に避けたジョロウグモの大きなくもの巣に引っかかる大人(私)

アサギマダラのマーキングアサギマダラのマーキング

子ども達と同じくらい息せき切って、チョウチョを追いかけるお母さん、

そして、捕まえたアサギマダラの浅葱色(あさぎいろ:みずいろ、うすい青色)した

透き通った翅にマジックで自分の名前を書き込むときの、かすかな興奮が、

息を吸って吐くように、ごく当たり前の自然さで、参加したみんなに染み渡ってゆきます。

アサギマダラのマーキング

この日、満足に蝶を捕まえることができなかった、女の子たちが、

「バーディハウスには、いっぱい飛んでいるから、明日、学校が終わったら行こう。」

と、言い出しました。

それは多分、海岸に自生するツルモウリンカ(ガガイモ科)を食草にして定着している

リュウキュウアサギマダラで、長距離を季節移動するアサギマダラではないだろうなぁと、

思いましたが、いっしょに捕まえて見比べなければ、納得できないことなので、

翌日、私たちは、奥武島に行きました。

目の前を飛んでいるチョウは、昨日飛んでいたアサギマダラよりも一回り小さかったため、

女の子達は、捕まえる前に、その違いを理解してくれましたが、

飛び回るチョウチョを捉えること、そのものが楽しくて、捕っては、放しを繰り返し

アサギマダラのマーキング

最後は、そのリュウキュウアサギマダラに「久米島ホタレンジャー」とサインして放しました。

マーキングをする本来の目的は、この島から飛び立って海を渡ったチョウが、

どれだけの距離を移動したのかを知るためです。

毎年、鳥やトンボ、そしてこのアサギマダラも、この小さな南の島から、風を利用し

自らの飛行能力を際立たせながら、海を越え、日本の各地に飛び交っています。

そうした生きもの達の、壮大な渦の中に、“私”という、印を刻む“マーキング”の記録は、

いつかきっと、こうした海を渡る生きもの達の様々な不思議を

解き明かすことに、必ずつながってゆくはずです。

アサギマダラのマーキング

毎日の暮らしの中で、こうした自然との関係を体験することは、

とても特別なことのように感じているかもしれませんが、

小鳥の声に耳を傾けたり、花に飛んでくる虫をながめること、

土に触れて香をかいだり、空から落ちてくる雨や雪に手を触れることは、

私たちの五感を刺激して、美しい心に、それぞれの大切な自然をマーキングしているのです。

アサギマダラのマーキング

自然を恋しく想う時、私たちの心は、アサギマダラの透き通った翅のように美しく清らかです。

そして、その心に唯一、刻まれるのは、“つながり”という言葉だけだと想うのです。

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この記事へのコメント
こんにちは。
お久しぶりです。いつも読ませていただいてます。
アサギマダラについては、本州中部の伊吹山で夏に撮影されたものを見ました。それで、そのアサギマダラが久米島にもたどり着いたのかと、ネット上でも感動しました。
どんぐりについて、沖縄にどんぐりがある、ということ知らなくて、
かわいい容とともに興味深くて、日記にリンクを貼らせていただきました。
この歳になって、初めてスダジイやマテバシイを、レンジで暖めて食べました。どんぐりを食べて、アサギマダラを見つけて育つ子どもたち、なんと幸せなことでしょう。
Posted by KAORU at 2007年12月08日 11:46
KAORUさん、コメント、それにリンクを貼っていただき、
ありがとうございます。

アサギマダラは、
『栃木県日光市で放たれ、約1800キロを旅してきたアサギマダラが3日、石垣市のバンナ公園で八重山商工高校の生徒たちによって捕獲された。』
という、ニュースが、『ネイチャーオキナワ』に乗っていて、「すごーい!」
の連発でした。

沖縄のドングリは、確かに、熱帯雨林のような羊歯植物に覆われている沖縄をイメージしていると、想像できないかもしれませんね。
館長の話では、本土の、ドングリは、もっと種類が多く、利用する小動物の関わりも、もっと複雑で、面白いそうですね。

この島の子ども達が、自分の暮らしている島の魅力に気付くことが出来れば、本当に、幸せだと私も思います。
その魅力を、伝えることが出来るよう、これからも一緒に楽しんでいきたいです。
Posted by satou-nsatou-n at 2007年12月08日 22:24
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