夏の残り香

satou-n

2007年10月11日 01:04

早朝から。ジー・グェーッ、ジー・グェーッ(ジーワ・ジーワ、クーワ・クーワ)と

クロイワツクツクが鳴いています。姿は、見えませんが、遠くの方から、「ケーン、ケーン」と、

オオシマゼミが甲高い音で盛んに鳴き交わします。

クロイワツクツクとオオシマゼミは、一度聞くと、かなり印象深い鳴き声です。

台風15号の影響で、荒れ続けた海上の波も、

今日からは、やっと穏やかになりはじめました。

爽やかに感じる風と、夕暮れの日差しの切なさが、

秋の気配を漂わせ、ホタル館の川沿いに咲いている

移入種のアメリカハマグルマや、蜜を吸いに訪れている見慣れた

アカホシカメムシにも、夏とは違う、風情を感じてしまいます。



アカホシカメムシは、逆さまに見るとリーゼントの優男の顔に見えるので、

見つけた子ども達は、必ず、「これ、なんて虫~!」と、聞いてきます。



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   リュウキュウサワマツムシ

日中は、小鳥達のおしゃべりで騒がしかったホタル館の木立の中は、夜になると、

マダラコオロギ(キマダラマツムシ)や、オキナワマツムシ、

リュウキュウサワマツムシ(アシマダラマツムシ、リュウキュウマツムシ)といった

マツムシの仲間がそれぞれ森や草地、川沿いで鳴き交わします。

森の木立で、クチキコオロギ(リュウキュウクチキコオロギ)や

タイワンクツワムシも、最盛期を迎えてあちらこちらで鳴いています。


   誘惑腺をなめるクチキコオロギの雌(上)、下は雄

クチキコオロギの雄は、リー、リーと静かに鳴きながら、短い羽根を垂直に立て、

胸の背側の羽の付け根あたりにある誘惑腺で雌を誘います。

誘惑腺に惹きつけられた雌が、そこから分泌される物質をなめている間に

精包を受け渡し(交尾)します。

芝生や草地では、タイワンエンマコオロギやネッタイオカメコオロギ(リュウキュウオカメコオロギ)等

多種類のコオロギ類に混じって、

ネッタイシバスズ(リュウキュウシバスズ)も盛んに鳴いています。

ホタル館の建物の中を、暗い森の中だと勘違いしたマダラコオロギが幾つも侵入し、

事務所の机の下や展示室の窓際のカーテンの隙間に隠れ、ツン、ツンと鳴いています。

「おい、おい、そこじゃないだろ・・・。」と、呟きながらも、

なんだか楽しい気分にさせてくれる、鳴く虫は、ちょっと、お得な虫のようです。


   マダラコオロギ(右雄、左雌)

すっかり暗くなった、森の周辺を散策しているときに、カエルに出会いました。

目星をつけて、ライトを向けた先に、鮮やかなライトグリーンの

オキナワアオガエルが、浮かび上がりました。



冬から春にかけてに産卵を迎える、このオキナワアオガエルは、

ホタル館のテラリウムでもオタマジャクシから飼育していますが、

小指の先ほどの大きさから今は、小さな赤ちゃんの手ぐらいの大きさまで、

随分大きく成長し長い時間をかけて育っています。

川には、フ化が近いクメジマミナミサワガニの雌が卵を抱えて落ち葉を食べています。

クメジマオオサワガニも林床を徘徊しています。

どちらも、世界で久米島だけにしかいないの島の固有種です。


   左:クメジマミナミサワガニ 右:クメジマオオサワガニ

サワガニたちが水辺に近づくときは、オオウナギに気をつけなくてはいけません。

オオウナギは、サワガニを追って、まるでシャチがアザラシを岸に追い込み襲うように、

陸に乗り上げ、サワガニを追いかけるからです。

状況をよくわきまえない末の息子が、「ウナギに触っていい?」と聞くので、

「触ったら、餌と間違われて指を食いちぎられるよ!」と、注意したことがあります。

息子とは違って、常に注意を怠らないコンジンテナガエビの雌が、

ライトで照らされた複眼をキラキラ光らせ、4本の触覚を注意深く動かしながら、

オオウナギの様子をうかがっています。

昼間決して見ることができない夜の世界は、

BGMに、リュウキュウコノハズクやオオコノハズクの声を聞きながら、

スポットライトに照らされた、ショーを観ているようで、なかなか楽しいひと時です。

締めくくりのサプライズは、秋になっても、時折出会えるクワガタムシ!

夏の残り香が、漂います。


   オキナワヒラタクワガタ



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