「館長、見てください、これって、ミナミボタルですよね!」と、
嬉しそうにカップに入れた小さな昆虫を差し出します。
「おぉ、良く見つけたね。2月に入ると、このクメジマミナミボタルが出現して、
それから3月になるとクメジママドボタル、4月はクメジマボタルが出現するんだよ。」と、
差し出されたカップを手に取って、説明してくれる館長の周りに私たちは集まり、
恒例のミニミニちょっとした立ち話しが始まります。
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小さなクメジマミナミボタルを主役に、久米島のホタルシーズンがいよいよ始まることや、
11月から1月ごろまで見られるシブイロヒゲボタルも合わせると、真冬から春にかけてが、
久米島固有種(固有亜種も含む)のホタルが次々と出現する楽しい時期だということを、
館長は、再確認させてくれます。
久米島には、言わずと知れたクメジマボタルのほかにも、このクメジマミナミボタルと、
クメジママドボタル(オキナワマドボタルの久米島亜種)という、久米島の名が付いた、
久米島固有種・固有亜種のホタルがいます。
でも、ほとんどの人は、このミナミボタルの存在には、関心を持つことがありません。
理由はとても簡単、それは、このホタルの成虫が”光る”という、人にとって好ましい魅力を
持ち合わせていないからなのです。
もっとも、シブイロヒゲボタルやクメジママドボタルの成虫も、光るホタルではあっても
多くの人が想像するように、盛んに飛び回って光るホタルではないので、
なかなか関心を持ってもらえません。
それでも、こうした小さな生きもの達が、地球環境という大きな視点に立って考える時に、
世界中に唯一、久米島にしか存在していないという事実の凄さに気づいてもらいたいと、
繰り返し館長は、私たちや子ども達に教え、多くの方に案内します。
確かに、私たちを取り巻く毎日は、人間対人間の関係だけが際立ち、成り立っているものです。
その毎日を生き抜いていくことだけでも大変なのに、
こんなに小さな生きものの事に関心を持つこと自体が
果たして何の意味があるのかと、多くの人は考えているのかもしれません。
でも、人間関係や社会の荒波に疲れた時、何よりも私達を癒してくれる
物言わない自然の風景や、無心の生きものたちの存在が
私たちに果してくれる恩恵、役割への気づきや理解は大きくなっています。
こうした私たち人間を取り巻く、様々な自然の恩恵に真剣に気づくとき、
人は、自然を大切にする責任を、自覚するのかもしれません。
ホタル館の館長は、この目の前の小さな生きものの存在、そのものに関心を持つことからも、
自然環境に対する、真摯でひたむきな対応を促してくれます。
私たちは、館長から、「久米島にしか居ないんだよ。」という言葉の重みを、
地球儀を想像しながら、生命が誕生した地球年数を想像しながら、受け止めることで、
目の前の小さなクメジマミナミボタルの存在が、
本当に奇跡的で貴重な存在になりウキウキします。
そして、そのウキウキした高揚感と共に、
益々、この小さな生きもの達を大切にする責任の重さを強く自覚するのです。
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