仲里農村環境改善センターで行われた講座には、ホタレンジャーの子ども達を中心に
クメジマボタルへ関心を寄せておられる僅かな方々が、参加してくれました。
講座は、国内に生息しているホタルの特徴や分布、その生態について、
そして、クメジマボタルの発見当初の事などが、
大場先生の優しい語り口で進められてゆきました。
講座の途中に、電源が落ちて、PCの画像が消えてしまうという、
とんでもないハプニングが、起きてしまいましたが、
そんなアクシデントにも全く動じることなく、坦々とお話を続ける
大場先生のお姿に、よりいっそう、ホタルに対する熱き思いを感じてしまいました。
久米島の方々にとっての、クメジマボタルに対する関心は、、
全国に居られるホタル愛好家の方々にとっては、意外なほど薄く
そのホタルを鑑賞するために持てる時間や経済的なゆとりは
島の自然環境に対する認識に、比例していて、
その環境を保全することは、容易ではありません。
この島だけに限らず、沖縄本島や宮古、八重山、各離島にわずかに残されている
自然環境や生きもの達への、関心は、残念なことに地元に暮らす人々が
後悔する事にも気付かないスピードで、失われ続けています。
その積み重なりの目に見える大きな代償が、沖縄のサンゴ礁の消滅です。
悠久の時を生きてきたはずの沖縄本島海岸のサンゴ礁や、
この久米島の海のサンゴ礁の消滅は、
およそ30年くらいの短い期間で、起きてしまいました。
私が、子どもの頃には、確かに存在していて、同じ時代の誰もが目にしていた
現実の景色が、今では、私の記憶の中でしか語ることの出来ない、
私の子ども達にとっては、夢でしかない景色になってしまいました。
こうした現実を、仕方がないと、言い切るのは、あまりにも無責任なのではないでしょうか。
この島に暮らす多くの人が、少しでも早く、自分たちを取り巻くこうした環境を、
地球規模で考えることができるなら、今まで存在していた自然環境が
失われてゆく過程で、様々な生きもの達が、発してた警告の重さを
もう一度、心に受け止めることが出来るはずです。
そして、その流れを変えるための行動をとることが、きっと出来ると信じています。
大場先生の講演の中でも、そうした方向性から、クメジマボタルの個体数の減少を捉え
久米島に暮らす多くの人への警鐘として、ホタルが自然環境に果たす役割を担っている
という考えを持っておられることを、垣間見ることが出来ました。
そして、もう一つ、世界中のホタルを研究するために、ホタルの数も種類も多いアジアの国々に
何度も通われた大場先生は、ある画家が描いた一枚の絵に出合ったそうです。
その絵は、異国の地で、果ててしまった兵士の遺体を取り囲むように、
沢山のホタルが、飛び交い光っている情景で、
片手を上げ、うつぶせに倒れている兵士の黒いシルエットが、
対照的に光り輝くホタルに縁取られ、それはまるで、
私達人間が犯した悲惨な戦争に、美しい自然の生きものを象徴したホタルの光が、
悲しいレクイエムを、奏でているように感じられたそうです。
異国の地に、未だに残された戦争の傷跡を、
こうして静かに癒す、温かなホタルの光について語られる大場先生の講座は、
参加してくれた島の方々や子ども達にとって、
学識面だけではないホタルの深い魅力について、染みいるように伝わったのではないでしょうか。
こうした機会を、開いてくださった沖縄大学地域研究所の皆さんへ、
久米島ホタルの会では、深い感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に、ありがとうございました。
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