若夏(うりずん)のアカショウビン

satou-n

2009年05月22日 18:10

「家の庭に、赤い鳥が落ちていて、

飛べなくって、元気が無いから連れてきたんだけど、見てくれんかなぁ。」

そう言って、軽トラックから降りて来た農家のおじさんが差し出した手の中には、

ホタルのシーズンに渡って来るアカショウビンでした。

おじさんの手の中で、大きな赤い口をパクパクさせているところをみると、

どうやら、家の窓ガラスにぶつかって、気を失ったところを助けられたようです。

「役場に行こうか迷っていたら、みんなが、

ホタル館に持っていったら言うんで、大丈夫かねぇ~。」と、心配そうにしています。





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羽根や足の状態を診て見ましたが、取り立てて問題はなさそうです。

「多分、ぶつかったショックで、一時的に飛べなくなっているだけだと思うから

しばらくすれば、多分飛んでくれますよ。



このアカショウビンたちは、土手や木に穴を開けて、巣作りをするので、

真っ直ぐに勢い良く飛ぶんです、人間の住んでいる家の近くは、

カラスやタカが寄り付かない事を知っているからか、

最近は、学校や民家の近くを、飛び回る光景が良く見られるようになりました。



でも、私たちの家には、昔の瓦屋(カーラーヤーァ)とは違って、ガラス戸になったため 

森の中だと勘違いして、勢い良くやってきたアカショウビンは、

こうした事故に遭ってしまい、打ち所が悪ければ、即座に死んでしまいますし、

一時的に動けなくなっているときは、野猫やカラスなどに襲われる危険性が増すため、

こうして人の手で保護されると、生き残る率は、高くなります。」と説明すると

「やっぱり、持ってきて、よかったさぁ~、私の家の近くには、野良猫が多いから、

元気になったら、この辺で、放してあげてねぇ。」そう言って、

おじさんは、ニコニコと、畑仕事に戻っていきました。



受け取ったアカショウビンは、念のためダンボールに入れましたが、

数分もしない間に「もう、大丈夫だから、早くここから出して~。」と言うように

”バンバン”と、激しい音を立て始めました。

そこで、鳥獣保護員でもある館長に、記録写真を撮ってもらった後、直ぐに野外に放鳥しました。

「あんなにきれいな赤い鳥、私は初めて見たさぁ~。」と、おじさんが何度も言っていたように

まだ若いリュウキュウアカショウビンの羽根は、

今まで見た中でも本当にきれいな赤紫色の光沢を放ちながら

梅雨の晴れ間の緑の樹林の中に吸い込まれてゆきました。



「キョロロロー。」とホタル館の周囲の森に響く、

アカショウビンの鳴き声が、日増しに増えてきました。

先月は、サンコウチョウのオスが、センダンの柔らかな葉の間から、

特徴的な長い尾羽を垂らしているのを見かけて、

以前、ホタル館の川岸から巣立った雛たちかしらと、

里帰りの子どもを向かえる母親の様な心境です。



小さな施設で、メンテナンスも十分ではないのですが、

この小さな島の中で、小鳥達のさえずりが、絶えることのないホタル館を、

〈サンクチュアリ〉と、表現してくださった方が居ました。

若夏(うりずん)の季節には、ウグイスやメジロ、アミハラ達が、

巣作りの材料集めに忙しそうにしています。プロポーズのために、縄張りを争っている時には、

かわいらしい姿からは想像できないほど、けたたましい叫び声をだして、自らを誇張します。

でも、雛の成長は早く、もうすぐ、巣立ちの季節が始まります。



草むらやビオトープや川辺には、コサギやアマサギが、降り立ちました。

彼らが狙う、小さな昆虫や、爬虫類、エビやさかなやミミズ達は、

身に備わった機能を発揮して、難を逃れるために必死に攻撃をかわし、身を隠します。

私の手元には、空港で保護された弱ったメスのイソヒヨドリ(もうずいぶん大きくなりました!)




と、アイランドホテルから託された小さな小さな2羽のスズメが、今は巣立ちの時を待っています。



スズメの一羽は、持ち込まれたときのダメージが大きく、

片目は腫れて、辛うじて見える程度の様ですが、大きな口をあけてよく食べてくれます。

どの生きもの達も、みんな、一生懸命に、生きています。

その命の輝きに触れるたびに、私の感性は、共感し、生きている喜びに溢れます。

小さな命に触れることで、生きている事への感謝が芽生えるのは、

決して、特別な事ではない事を、多くの人が知っています。

久米島という小さな島の、大きな役割は、

地球の宝物、この小さな命を、育む事でもあると想うのです。



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