オオハクチョウの幼鳥保護

satou-n

2013年11月26日 17:49

11月24日に開催していた『トンボフェスティバル』のイベント中に、

「口に血の付いたハクチョウが、駐車場に居るから保護して。」という連絡が入り、

捕獲保護を行ってきました。



現場では、知り合いの御家族と、近所の子ども達が、ハクチョウを見守っていて

周辺には、ハクチョウが食べていたという紅かるかんがあり、

道路と土の地面の駐車場の堺には、かなりの出血痕が見られました。





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近づくと、羽根を広げるしぐさをするので、

「飛ぶよ。」と声を上げると、

周りにいた子どもたちから、「飛ばん、飛ばん。」と、教えてもらいました。

それなら、なんとかなるかもと、持ってきた大きな段ボールを、切って広げ

壁のように立てかけながら、ハクチョウが逃げるスペースを徐々に狭めながら、

タイミングを見計らって、頭を覆うように上着を被せて、大きな体を押さえこみました。



灰色の体色から幼鳥だと判断出来ますが、身近な鳥ではないオオハクチョウは、

とても大きく感じるし、逃げられないように捕獲しようと考えると、

益々、緊張しましたが、口元の出血と、飛べないという状態は、

このハクチョウの子どもにとって、命にかかわる緊急事態だと思い必死でした。



当日は、日曜日だったので、沖縄県の自然保護課に連絡できるのは、

明日以降になると判断し、保護したハクチョウは、イベント終了後に、

ホタル館で保温しながら様子を見て、翌朝、沖縄本島の動物病院へ空輸しました。



離島の野鳥保護のために、県自然保護課の担当の方々やJTAの空輸を支えるスタッフの皆様の

お蔭で、これまでもたくさんの野鳥の命が救われてきました。

本当にありがとうございます。




この時期は、ハクチョウだけに関わらず、野生の水鳥たちは、ごくごく稀ですが、

鳥インフルエンザを保菌している可能性もあります。保護の際も、輸送の際も

最善を尽くして安全に保護・輸送できるように心がけています。

でも、元気なのに保菌している場合もあるので検査は欠かせません。

保護したハクチョウは、インフルエンザは陰性で大丈夫との連絡があり安心しましたが、

ケガをした上、酷い空腹状態で衰弱し、ハクチョウの容体は非常に悪いとのことでした。




通常、野生の鳥のインフルエンザが

直接人に感染するという事は、ごく稀な場合を除き、起こりませんが、

感染した鳥の糞が、人の靴底や、車両の乗り入れの際に張り付いて、

鳥小屋や養鶏場などに運ばれると、小鳥やニワトリ、アヒルなどがインフルエンザに感染する

可能性が高くなります。東南アジアや中国などでは、豚などの家畜やペット、

生きたニワトリ、アヒルなどとの間で変異が進み、高病原性鳥インフルエンザウィルスへと

変異してしまう事が知られています。

そのような問題のある保菌鳥が久米島にも飛来する事も、想定しておかなくてはなりません。

「まさか、ひやぁ~。」と軽んじる気分は、誰しもありますが、

万が一、事態が深刻になった場合を想定し、備えることは大切です。



ハクチョウを捕獲保護した現場の近くは、農業用のため池やダム湖があり、

冬の時期には、野生の渡り鳥が多く飛来します。ダム湖には本来人が入り込むことはないので、

人との接触はないのですが、カンジンダム湖では、湖内に造られた浄化施設である棚田維持の

ために、人の立ち入りを想定していますので、通常は、できるだけ人との接触を避けるために、

人を立ち入らせない配慮をしてもらっています。

久米島の自然環境を保全する事や、地球環境の生きもの達の生態系バランス

やシステムにとって、季節ごとに渡り鳥が、この島に利用し飛来することは避けられません。

しかし、この時期は、鳥インフルエンザの発生の危険も増すため、

私たち人間は、野生の生きもの達との賢い関わり方で、身を守る必要があります。



草刈りなどの管理作業はもちろん、人や車など、ダム湖周辺への出入りはできるだけ避けて、

静かに見守る時期として考えています。

また、飛べない野生の鳥を見つけた場合は、むやみに捕獲をせずに、

とにかく早急に、役場の環境保全課か、久米島ホタル館へ連絡してください。

生きもの達の命は、発見と治療が早ければ、助かる可能性が高くなりますし、

私たち人間の暮らしにとっても、目に見えない危険な状況を最小限に抑え、

拡散することなく回避する事が可能になります。



ぜひ、多くの皆さまの御協力をお願いいたします。





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