このアカショウビンは、地元の女性が、自宅の庭の窓ガラスにぶつかって
動けなくなっていたところを、保護して、町役場に連絡したところ、
『久米島ホタル館』を紹介されたのだと言います。
アカショウビンの分布は、インドから朝鮮半島南部、
北方のものは、フィリピンなどに渡ります。
日本では、九州以北に亜種アカショウビン、南西諸島に亜種リュウキュウアカショウビンと
2亜種に分かれていて、夏鳥としてほぼ全国に渡来し、
久米島では、4月下旬から出現し始め10月ごろまで、見かける事ができます。
「キョロロロロ~ッ」と高音域の鳴き声と、直線的な飛び方が特徴的な、赤い鳥は、
南国的で濃厚な緑の森によく似合っています。
セミやトカゲ、カエルなどの森の小動物だけでなく、
川の魚やカニ類も大好きで、あまり人を怖がらず、愛嬌のある雰囲気から、
沖縄の妖怪として有名な「キジムナー」のモデルだという説もあるのです。
「アカショウビンを保護するのは、2回目で、以前は、こんな風に鳥を引き取って
面倒を見てくれることは無かったから、よかったさぁー。」
「前に保護したときは、どうしたんですか。」
「あの時は、直ぐ飛びよったから、大丈夫だったわけよぉ~。」
「保護されたときに、何か餌を与えたりしましたか?」
私が、記録シートに記入するために質問すると、少し、面倒くさそうに
「餌は、あげんけど、水は、飲ましたさぁ!」と、いう答えが返って来ました。
アカショウビンのくちばしは、かなり大きくて、直ぐに突っつくので、
「えっ、どうやって?」と、私は、思わず聞き返してしまいました。
すると、「なんでぇ、くちばしで突付くから、その隙間に水を流しいれたら、ゴクンと、飲むさぁ。」
その答えに「大丈夫でしたか、痛かったでしょう。」と、私が言うと、
ちょっと気難しげだった私よりも幾つか年配の女性の表情が、
見る間に優しくとけだして、「あっさぁ、好きだのに、大丈夫さぁ。」と、笑顔になります。
こんな時、私は、言いようも無く、こうした人の優しさに触れることが出来る
“人間に生まれてきてよかったぁ!”と、心の底から想えるのです。
生きものの命に触れることで、島の人々と共有しあえる、
緩やかで、懐かしい、この島の時間は、どんな時にも、私を元気に、そしてやる気にしてくれます。
アカショウビンを放鳥した翌日には、アイランドホテルのフロントから、
気さくな雰囲気の電話が入りました。
「すいませ~ん、今朝、緑色の鳥を、保護したので、お迎えを、お願いしま~す。」
「お迎え。」のコメントに、笑い出したくなるのをこらえて、様子を聞くと
ホテルの窓ガラスにぶつかって、動けなくなったところを保護していると言います。
数分後にホタル館に持ってこられた緑色の鳥は、リュウキュウウグイス、もしくは
ダイトウウグイスだと思っていたのですが、
下記のコメントにより、エゾセンニュウであることが解りました。
軽い脳震盪をおこしていただけのようで、直ぐに元気を取り戻し
ホタル館の芝生の広場に降り立った後、
森の木立の中に、勢いよく飛び込んでいきました。
3月の渡りの季節から、繁殖の季節の4,5月にかけて多くの野鳥が保護されます。
今年は、『鳥を保護したらホタル館へ、届ける。』という連携が、浸透してきたおかげで
無事に放鳥出来ることが多く、アカショウビンやウグイスの他にも、3月には
息子の同級生のご家族が届けてくれたツグミが、ホタル館を囲む芝生へと飛び立ちました。
どちらも、動けなくなっていた僅かな状態を、人間によって保護された事で
生きながらえる事が出来ました。
鳥が、建物の窓や壁にぶつかって、命を落とすことは、
本来、けっして自然な事ではありません。
ガラスの向こう側が透けているために、森のトンネルだと誤解して
通り向けようとしてぶつかる鳥のために、ガラスに猛禽鳥や他のシールを貼って
そうした事故から、生きもの達を守ってあげる事は、地球環境を様々な生きもの達と
共有するために、当然のマナーだと想うのです。
久米島自然文化センターの庭に面した窓
そうして、こうした離島などの自然環境が比較的、身近な地域で、
人間の暮らしだけを中心に捉えることなく、
生きもの達の不幸を、省みる事ができるのは、この先の未来を、
より多くの人や生きもの達と、共有して生きる潜在意識を、育む事が出来るのです。
そして、都会では、到底得る事の出来ない、豊かな時間で、
人の心の温もりを教えてくれるのは、
何よりも生きもの達の生息する自然環境に勝るものはありません。
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