2008年08月19日

サンゴ礁を愛しむホタルの灯り

現在、私たちの暮らしている久米島は、沖縄本島、周辺離島と同じように海に囲まれています。

沖縄の浅い海岸は、世界でも有数のサンゴ礁が発達していて、様々な生きものが暮らしています。

サンゴ礁海岸の白い砂は、石灰質の殻や身体、骨格を持った生きものの死骸や、

その破片が集まってでできたものです。

それらは、青い海のプリズムに映えてまぶしいほど美しい砂浜を作り出します。

そこで生まれ育った私達にとっては、海はとても身近で、心癒される大好きな存在なのです。

そして、古期火山帯土壌と隆起石灰岩が広がる、小さな島の亜熱帯照葉樹林から湧き出す水は、

河川や湧水、鍾乳洞などの地下水として経由し、その間にミネラルなどの栄養分も溶け込ませ、

深海の湧昇流と共に、サンゴ礁の多様な生きものの生育に必要な栄養分を届けます。

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サンゴ礁を愛しむホタルの灯り

世界では、約1300種類のサンゴが記録されていますが、

琉球列島には約400種類のサンゴが生息しています。

種類だけでは、フィリピン、スンダ列島に次いで、世界で3番目にサンゴの種類が多く

世界最大規模のサンゴ礁であるオーストラリアの

グレートバリアリーフ(約350種)よりも多いというのです。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯り

そして、固有種数では、なんと、世界一の多さを誇ります。

その、380種類以上のサンゴが生育しているといわれている沖縄には、

色とりどりの魚や貝、エビ・カニ、ナマコ・ウニ・ヒトデ、海藻なども多く生息・生育しています。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯りサンゴ礁を愛しむホタルの灯り

           ウデフリクモヒトデ                   イワオウギガニ

様々な生命の多様性を誇る生きものの宝庫ともいわれるサンゴ礁生態系は

世界の漁獲類の9~11%も支えているともいわれ、食糧資源の宝庫でもあります。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯りサンゴ礁を愛しむホタルの灯り

 海にはいると、直ぐに大きなシャゴウ(シャコ貝の一種)が見つかりました。観察後、放流しました。

そして、私達、人間も、こうした多様な生きものが棲む豊かな生態系であるサンゴ礁と

深く関わりを持った生活や文化を、育んできました。

サンゴ石灰岩を使った家屋の石囲いや礎石、踏み石、縁石などの石材、

漆喰の原料(焼いて消石灰にした) 食料(魚介類や海藻)など。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯り

百数十万年もかけて形成され、竜宮城にもたとえられた沖縄のサンゴ礁生態系は、

貴重な自然遺産であり、沖縄の文化と経済を、数千年にもわたって支えてきたとも言えます。

そして、現在、それはもろく壊れやすい地球環境の中でも、

真っ先に温暖化の影響を受ける自然環境の一つとして、例えられています。

環境の変化に極めて弱く、その修復には気の遠くなるほどの長い時間が必要とされ、

地球全体の生きもの・人類の未来にとっても、最も大切な環境だと考えています。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯りサンゴ礁を愛しむホタルの灯り


このように、貴重なサンゴ礁生態系を保全するために、今年は、世界的な取り組みとして、

サンゴ礁保全を目的とした国際的な協力組織の代表の一つでもある

「国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)」が知られています。

世界各国において、大勢の人に、サンゴ礁についての理解を深めてもらうための

普及啓発活動や、サンゴ礁保全活動を推進しています。

約80の国や機関が参加しており、環境省が日本の窓口になっています。

その「国際サンゴ礁年 サンゴマップ2008 実行委員会」の平手康市さんは、

ホタルの会の会員で、観察会などの講師を行うなど、長年協力を続けて下さっています。

そこで、ホタルの会でも、夏休みのイベントとして、「サンゴマップ」作りを行うことにしました。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯り

8月2日の干潮時の海岸は、風が吹き抜けてさわやかでしたが、

照りつける太陽を遮るものは何も無く、集まった子どもも大人も、「暑い~!」の連発。

それでも、みんながんばって、平手さんが用意してくれたサンゴマップ作りのシートに

必要なデーターを書き入れてくれました。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯り

潮の香りがほのかに残る、そのシートを受け取りながら、子ども達の話を聞いている私は

幼い頃、海岸の入り江にいる沢山の生きものと、

その生きもの達の営みの残された後に胸をときめかせて歩いたこと、

表面は青一色の、ざぶんと潜った海の中には、本当に色とりどりに泳ぐ魚がいて

陸の上とは、まったく違う不思議な世界の存在に心臓の鼓動が激しくなったことを

今でも、子ども達の輝く瞳と同じ目線で、感じることが出来ます。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯り
    アクキガイ科アカイガレイシ    

沖縄の海の記憶を持っている私は、

心の底から、この美しい海を次の世代へ託したいと願っているのです。

環境の保護や保全を手がける時、人間の都合に合わせて、

単純に、ここからここまでと、切り離して解釈し、行動することは、一見効率よく思えて、

誰もが手がけやすい事と考えるのですが、

自然環境の連鎖の仕組みは、とても複雑で、人間の考える都合には、合わせてはくれません。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯りサンゴ礁を愛しむホタルの灯り

  近海を台風が通過しない今年の夏、海水温の上昇で白化したサンゴが幾つも見つかりました。

ですから、自然環境の問題解決を、真剣に考えるなら、

そのシステムや優先順位を知っている専門家の意見に耳を傾け、

素直に行動することが、本当は、とても大切だと考えています。

「クメジマボタルを守るために、どうして、いろいろな生きもの達について、

知らなければいけないの?」

「クメジマボタルの生息地以外で、ゴミを拾うのはなぜ?」

今まで、こうした疑問が、出てくるたびに、久米島ホタル館の館長から

生きもの達のつながりの関係と、その関係が作り出す自然環境の仕組みを教えてもらいました。

サンゴ礁を愛しむホタルの灯りサンゴ礁を愛しむホタルの灯り

ハマサンゴ:水面に出た部分が死滅し、横に広がって成長して小さな環礁のような姿(マイクロアトール)になります。

自然環境について、知識が深まり、そしてその行く末を真剣に考えたとき、

「出来ない」のではなくて、「したくない」という本音を、

「知らなかったから」、「無理だから」と、言い訳にしていた自分に、気づくことが出来ます。

そして、本当の自然環境保全への意識は、きっと、そこから始まるのだと想うのです。

この島の森で、クメジマボタルが、瞬きながら飛び交う夜と、

まばゆく輝く白い砂浜に青く広がる空と、色とりどりのサンゴ礁の海を、

再び取り戻すことを夢見て、私達、久米島ホタルの会は、

足元の自然環境に、境界を持つことなく、大切に守ってゆきたいと考えています。

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この記事へのコメント
まったく唐突な、ネットの世界に不慣れな私の通信への早速のご対応、ありがとうございます。昨日は、貴ブログのホーム・全体も見ないまま、センス・オブ・ワンダーの日記に思わずコメントしてしまいました。私も以前、レイチェル・カーソンについて短い文章を書きとめた個人雑誌があります。後日、お送りしたいと思います。要領が悪く、文章が長くだらだら続くので困っています。自分のブログのURLさえ、ちゃんと覚えていません。ほとんど見てくれる人のいないブログですので、読みづらく、わかりにくいかと思いますが、よろしければ一度、覗いてみてください。新雑誌の企画書は現在、作成中で、その趣旨のみ、昨晩、少し記入してみました。ところで、写真絵本「ほたるの国から」、おいくらなのでしょうか。お送りいただければと思います。でも先に、私のほうから、上記雑誌「さくら」ほか、参考資料、お送りします。新雑誌、まだ恥ずかしくて(仮題なので)、名前が言えません。あらためて、ご連絡します。先に書きましたように、とめどもない文章になるのです。ここまでにて。よろしくお願いします。
Posted by 西岡明彦 at 2008年08月27日 10:49
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