2008年03月06日

身近なスミレの花

春を告げるとされる自然の便りは、たくさんありますが、

花の便りは、こどもから大人まで、多くの人に喜ばれます。

私の住んでいる家の庭には、薄紫色をしたリュウキュウコスミレが、

冬から春にかけて咲き始め、明るい日差しにも、くすんだ空にも美しく

心にやさしく映ります。



気を付けて見回せば、どこの地域にも見られるスミレの花ですが、

日本産のスミレ属はおよそ50種、変種まで含めると、なんと100種以上にも及ぶそうです。

そのため、日本はスミレ王国といわれていて

スミレだけの図鑑や書籍が、沢山あることにも、びっくりさせられます!

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スミレの花の形は、特徴があって、小さな子どもたちでも、その花のパターンを覚えると

「これは、スミレ~!これは、タンポポ~!」と、すぐに他の花との区別ができます。

その特徴は、もちろんスミレだけに限らず、チューリップやタンポポたちも同じように花の形や

付き方には、それなりの理由があるのです。

スミレの花は、左右相称の特徴ある5枚の花びらと、後ろ側には「距」(きょ)と呼ばれる

長く突き出た筒状の出っ張りがあります。



実は、この「距」(きょ)と呼ばれる出っ張りの中に、蜜をためているのです。蜜を集めようと、

「距」の筒の入り口から、ハチなどが花にしがみつくと、ハチは花にぶら下がった状態になり、

ハチが口や舌を伸ばして蜜を吸うと、頭に雄しべから花粉が振りかけられます。

そして、再び別の花に飛んでいって蜜を吸おうとすると、今度は雌しべに花粉が付く仕組みです。

けれども、春先の低温の続く日や長雨で、

花粉を運んでくれるハチが訪れてくれない可能性があります。

そんな時には、庭の花にはシワアリの仲間がたくさん訪れます。

目当ては甘いスミレの蜜、ハチさんが来ないときは、アリさんが、大喜びかも知れません。



スミレは、虫を呼ぶ花以外に、花びらが退化した、まるでつぼみのような姿の閉鎖花もつけます。

閉鎖花は、自家受粉をするので100%種を作ることができます。

でも、自家受粉だけでは近親交配を重ねてしまい、時には子孫に遺伝的な障害を引き起こします。

そのマイナス面を重ねないためにも、しっかりと花を咲かせることをおろそかにしないのです。

こうして作られた種の詰まった実は、熟すると、やがて3つに裂けます。



実の皮が太陽の光で乾いて縮む力(作用)で弾けると、種が周辺へ飛び散ります。

しかし、スミレの凄いところは、その種に、アリさんの好物である脂肪酸で出来た

「エライオソーム」と呼ばれる付属体を付けて、アリさんを引き寄せる細やかさで

アリさんにさらに遠くへ運んでもらうという仕向み、技?も持っているのです。そして、

アリさんは、時には、スミレを食べてしまうイモムシや毛虫などを追い払うこともしてくれます。

ハチさんのように花粉を受粉するという大役は、できないけれども、

スミレは、こんなアリさんへ、花粉や蜜を、『Thank you 』の代わりに

プレゼントしている様にも見えます。

本当に、スミレって“すごいなぁ!”と、想うのです。



こんなに小さくてか弱い植物達の、したたかな生きる能力を知ると、

改めて深い感動と、同じ地球の仲間だという尊厳があふれてきます!

こうしたスミレの仲間は、微妙な花弁の付き方や葉っぱの形、

色のバリエーションが豊富な上に、生活場所もバラエティーに富んでいて、

明るい野辺に限らず、ほの暗い林の中や渓流、湿地、海岸砂丘や高山の岩礫地など、

至るところに、存在することも可能なのです。友達のアリさんはどこにだっています。



これだけ地球環境の様々な場所に適応して、繁殖できるスミレの仲間ですが

人間の欲望の前には、その織り込まれて見事な生き残りの技も、

意味の無い、悲しい物語へと、すりかえられてしまいそうです。

日当たりの良い海岸近くの草地には、たくさんのリュウキュウシロスミレが咲いていました。



スミレは開けた環境を好んだため、土地の改変で消滅したところもたくさんあります。

また、草刈りなどの里地の管理ができないために、除草剤散布が行われ枯れてしまったり、

あるいは、反対に長期間放置されたために、ススキなどの大型多年草植物に覆い尽くされ、

スミレの群生が消滅し、目にすることが出来なくなった場所も多いのです。

他にも、身近な植物が姿を消してゆく背景には、島を訪れた人の何気ないお土産気分や、

人々の行過ぎた採取が横行することで、消滅に追い討ちをかけてしまいました。

もしそれが、販売目的であれば、消滅は決定的になるでしょう。



風の吹き荒れる島尻の小高い丘に咲く、清楚な白いスミレを

毎年、楽しみにしていた方は、きっと、私だけでは無かったことでしょう。



自然の生きもの達の関係は、食べる食べられる関係ですが、

その、微妙なバランスは、決してお互いを利用するだけで、成り立つことはできません。

そこには、人間が、この先も地球環境の中で、

生き残り続けることができる大きなヒントが、あるのではないでしょうか。

腰をかがめて、スミレの淡い紫色に秘められた不思議をひも解きながら、

私たち、人間と、自然の関係が、こうした地球の仲間達の関係から

教えてもらえることは、まだまだ、沢山あるのだと、想いました。

そして、その紐を解く前に、その小さな存在を失わないことが、

今の地球時代に生きている、私たちにできる最大の課題だと考えているのです。



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