2008年02月23日

大切に未来へと受け継ぎたい県立自然公園・久米島

自衛隊基地と宇江城城跡につながる一本道は、

県立自然公園・久米島の第一種特別地域として

樹木の採取や伐採、傷つけたりする行為などに対して、

法の規制により大切に(厳格に)守られている場所です。

そこを車で通り過ぎようとしたときに、

いきなり、目を疑うような光景が、飛び込んできました。

日が蔭った森の林縁は、少し暗く、その間に、

まるで幽霊のように白い樹木が浮かんで見えたのです。



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その樹木はナカハラクロキ(リュウキュウクロキ)、

地元では、クルボーという名のほうが聞き覚えがあるかもしれません。

車中から見たところ、3本の異様に白い木が確認されました。

急いで、車から降りて、森の中に飛び込むと、踏み荒らされた周辺には、

10本以上ものナカハラクロキが、樹皮を剥ぎ取られ、無残な姿になっています。

また、周辺の立ち木も、ナカハラクロキの樹皮をはぐのに

邪魔だったのか、切られたり、折られたりしています。



久米島は島の随所に優れた景勝地を擁するとともに

歴史的、文化的遺産や風土的景観にも恵まれ、

自然度が高く、豊かな固有の自然を保有している特徴的な島だということで

昭和58年5月30日に沖縄県で初めて、県立の自然公園として

久米島のほぼ全域とその周辺海域が指定されました。


     国指定文化財宇江城城跡から望む風景     宇江城城跡近くの観音堂

その法律で制定された場所は、特別地域から第1種、2種、3種と

島で暮らす人々にとっての開発行為や営みのための自然採取に

配慮するように線引きがなされています。

沖縄県は、私を含めて2人を、その自然公園の景勝地を保護し、

その利用の適正化を図る目的で、自然公園監視員として委嘱しています。

私たちは、沖縄県自然公園監視員設置要網に基づいて

動植物の保護、自然環境の美化清掃及び事故の予防について監視指導を行い

あわせて適正な情報を収集し、県や町に報告することで、

利用秩序の維持に勤めています。



この島では、長い長い時間、天然素材の資源を使いながら、

人と自然が身近に存在し続けました。

島の中で、その自然の恵みが豊富に手に入ったことが、久米島に産業を育て、

今日まで受け継ぐことのできた大きな理由の一つだと感じています。

海や山からの島の豊かな自然に裏打ちされて、

この島の人々が、発展してきたことは紛れもない事実です。

現在、開発や耕作地の拡大によってこの島の森は、確実に縮小しています。

縮小した森の中では、自然の素材が豊かに存在することはできません。

海の珊瑚や魚介類も、その森から運ばれてくる栄養物で育まれてきました。



このように、法律で守られている特別地域に入り込んで、次世代の細い枝まで

剥ぎ取りながら消費してしまうと、資源は確実に失われます。

山奥で急峻な地形、開発行為が容易にできない場所の小さな面積の保護区、

そのわずかに残された樹木を

少しずつだと、言い訳しながら採り続ければ、やがては枯渇してしまいます。

植物は、光合成を行って自ら有機栄養素を作り出し、

地球上の全生物を養う、生命の源です。

光を獲得するために伸ばした茎葉と、

水や無機栄養素を得るために地中に伸ばした根を連絡する

樹皮の裏側にある維管束は、

篩管と導管から構成され、篩管は主に葉から根へ、

導管は根から葉への物質と情報の輸送を担当しています。

それを丸ごと剥ぎ取ってしまえば、その樹木は、間違いなく枯れてしまいます。



ナカハラクロキもオキナワサルトリイバラ・・・も、沖縄本島や離島周辺では、

普通に見られる木や草で、この島でも、かつてはどこにでも普通にあったはずです。

オキナワサルトリイバラの根っこ(グール)を掘り取る際に一部を残してるといっても、

大きくなるまでには、時間がかかります。

昔から受け継がれてきた産業を途絶えさせてはならないのなら

その素材となる自然の恵みを、再び豊かになるまで、

守り育てる時間がこの島では、絶対に必要です。

生きものや自然環境、あるいは文化財などを守る法律は、

それを、自己のためだけに利用したいという人にとっては

厄介な法律なのかも知れません。


  久米島町指定天然記念物カワラナデシコ

私たちが数万年もかけて苦労して育て上げてきた文化遺産、自然遺産、

今と未来の子どもたちのために、この自然と共生する生き方の大切さを

それを受け継いできた先人の想いを、今一度、学び直す時かも知れません。


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この記事へのコメント
  ご無沙汰しております。
写真を見て驚きました。いったい誰がこんなことをするのでしょうか。

 間伐でも樹皮を剥がし、立ち枯れさせる方法もありますし。確実にその樹木は枯れてしまいます。

 人間の手によって破壊された自然は、人間の手によって復元しないといけないでしょう。

 不法なことをする人以上に、自然を守ろうとする人たちのパワーが上回ることでないと自然は守れないことでしょうから。
Posted by けんちゃん at 2008年02月27日 07:13
けんちゃん、コメントをありがとうございます。

けんちゃんの驚きのとおりの惨状です。
この状況の異常さ、悲惨さは、行政でも速やかに対策への取り組みへと
動いてくれました。

昨日は、そのための会議に参加して、久米島で暮らす私たちにとって、こんな違法なことを許してはいけないという共通認識を、それぞれの立場からも持てる内容で、話し合うことが出来ました。

島に暮らす人々が、自然が豊かだった頃の幻想から出来るだけ早く抜け出さなければ、こうした状況に気づくことなく、違法な一部の人間を野放しにしかねません。

この島の自然は、この島の人々の純粋な想いで、守られています!
Posted by satou-nsatou-n at 2008年02月28日 00:58
和歌山県では、備長炭の原料であるウバメガシが危機です。本来は、間伐し、それも萌芽が出やすいように切る伝統があるのですが、最近は便利だからと皆伐してしまい、将来が心配されるというのです。先が見えることであるのに、実にアホウな話です。
Posted by 珪素鳥 at 2008年03月09日 10:31
珪素鳥さん、コメントありがとうございます。

和歌山県の備長炭の材として使われているウバメガシにも、
同じような危機があるのですね。
これもまた、本当に胸が痛くなる事です。

こうしたことを、繰り返されないようにするためには、
多くの人が、こうした事実を、知る必要があると思います。

私たちの暮らしは、天然の資源が、無限だと思っていた頃には、
もう二度と戻ることは出来ません。

そして、それを繰り返す限り、その計り知れないしわ寄せは、これから先の未来を生きる子ども達への、想像を絶する負担となってしまうことでしょう。
それは、本当に、珪素鳥さんのおっしゃるようにアホウな話だと思います。

私は、そんなアホウなことを、誰にもしてほしくないと、思っていて
みんなで、いっしょになって、そんなアホウなことをやめるための努力を
したいと考えているのです。
Posted by satou-nsatou-n at 2008年03月11日 23:23
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