2007年02月14日

畑からのメッセージ

青く晴れた空に、穏やかな青い海が広がる小さな南の島では

ほとんどの野菜畑が、豊作の賑わいを見せています。



あちらこちらで、畑の土から飛び出すほどの勢いの、

美味しそうなキャベツやブロッコリー、ニンジンや大根等々。

知り合いのハルサーのおじさんは、赤土対策のための防止板を取り付けている最中でした。

沖縄では、お百姓さんをハルサー(畑人)と言います。

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現在、久米島では、経済と歴史の転換期によって

稲作からサトウキビへと栽培作物が切り替わり、そして現在は、牧草地へと急転換しています。

久米島では、水との関わりが深かった米作りが途絶えてから、治水能力が劣化して、

雨の降るたびごとに起こる土壌の流出を昔は、何度も行政に訴え、対策を求めてきましたが、

根本的な改善が成されないまま、今では、誰もがあきらめてしまったと言います。



そして、天候に左右される農家の暮らしの経済は、年中安定することが無く

子どもを育てている場合には、精神的なゆとりを生み出すことが出来ずに

生活感にも、今日の確保が出来ればマシだと思うような、刹那的な生き方をする人が多くなり

環境への配慮だけでなく、農薬や除草剤で引き起こされる健康についても

直接的や突発的でない限り、反応することさえ、あまり無いのだと話してくれました。

それでも、ハルサーのおじさんは「虫に食われた野菜は、規格外で市場に出荷できんだけで、

できれば自分が食べている野菜と同じように農薬は使いたくないし、

除草剤も年をとれば、使うことで楽に作業はできるが、

私は、ハル(畑)が好きで、生きがいだから、ゆっくりやってゆくさぁ。」 と、

大きな笑顔で、ほくほくしたいい土の香りのする大根を2本すっと抜いて持たせてくれました。

私は、突然の嬉しいプレゼントに、何度も、お礼を言いながら、その場を後にしました。



政府が現在行なおうとしている「農政改革」の『品目横断的経営安定政策』からは、

規模が小さいというだけで、こうした本当のハルサー(農家)の人たちが、

支援を受けることなど出来ないことや、さらにもっとひどく追い討ちをかける、

オーストラリアとのFTA(自由貿易協定)交渉が進むことで、こうした純粋な農業への意欲が、

益々失われてゆくことへの憤りと不安を、強く考えてしまいました。

ハルサーのおじさんは、「今の農政のあり方では、できるだけ無農薬で、野菜を作る事は、

私のように子ども達が独立した年金暮らしや、何か別に収入の在るような家庭菜園に

留まるしかなく、本格的な農業だけで生活を維持することや、

ましては、家族を養っていくことは、とても無理だ。」とおっしゃっていました。

私も、本当にそうだと思います。

でも、お店やスーパーで購入する食品の安全性に何の疑問も持たない消費者は、今では、

本当に少ないのではないでしょうか、外国産の野菜にポストハーベスト、禁止農薬の使用など、

顔の見えない外国の農業者から輸入された食糧が、消費者へ供給されるよりも

やはり農業者と消費者である国民が協力して、支えあう方が、ずっと安心・安全で、

安定した食糧供給が、実現すると考えている国民のほうが、

昨年の内閣府が調査した「外国産のほうが安い食料は、輸入するほうが良い」7.8%よりも

「高くても国内で作るほうが良い」86.8%が上回っていることでも理解できます。



本当に必要なのは、安くて企画のそろった野菜ではなく、安全で、美味しい野菜だとすれば、

無農薬や限定低農薬野菜が流通できるように、規格外の虫食いの野菜への認識をしっかりと

改めることや、農業の担い手の高齢化対策ためや、農業労働を補うための人材確保のために、

地域で本格的に取り組みながらも、Uターンだけでなく、Iターンなど島外からも

広く受け入れる準備が必要です。また、短期的な支援協力システムとして、都会からもたくさんの

ボランティアを応募し、グリーンツーリズムなども視野に入れた、農業従事者に対する理解と

共有感を育む農村交流の企画を進め、将来性のある理解者の輪を広げることが必要になります。

季節が代わるたびに多くの花が咲き鳥が訪れ、トンボやホタルなどが沢山飛び交う、

環境への配慮にも確実につながる、自活した小規模農業の里(島)をつくるためにも、

一定の制度的な支援対策が必要です。もちろん、それまでは、生産物を島内で積極的に

消費する流通システムも調えなければなりません。

今政府が進めようとしている、農産物の輸入自由化の影響を、

日本中の小規模農家は、危機感をもって見守っていると思います。

農業の従事者にも、それを消費する私達にも本当に必要なのは、

命を育む食料への本質的な理解と、それを育てるための意欲なのだと、

ずっしりと重たい取れたての大根は、その育てられた畑の丁寧さを伺わせるように

その存在以上の大切なメッセージを、私に伝えてくれました。

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