2007年01月06日

オオタカ

仙台ブログ『ワタシタチノミドリ』が、

保全しようと立ち上がっている貝ヶ森で、目撃されたオオタカですが、

現在、活動を応援しているホタルの国でも、

2003年に若いオオタカが、保護されたことがありました。

渡りの途中、消耗しきって一時的に人の手に落ちただけのようで、

大きな翼にも身体にも外傷はなく、私たちを威嚇するように見据える鋭い眼光は、

生気に溢れて、幼さの中にも猛禽類の持っているなんともいえない風格を漂わせていました。




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久米島では、毎年、ニーミシ(秋に吹く北風)に乗って渡るサシバがお馴染みで

宮古では、その昔、本州から海を渡りやってくるサシバを狩る猟も行なわれていたそうです。


   以前保護されたサシバ ・ 現在はホタル館で飼養中

今では、考えられないかもしれませんが、

ある意味それほど沢山の渡りが、南西諸島では見られたという解釈ができるのかもしれません。

保護されたオオタカは、成鳥の特徴とされる胸の細い横班が見られず、

全身が褐色であったため、初めは大きなサシバかも知れないと8割方、勘違いしていました。

それでも釈然としない館長や、その頃島にいた家畜獣医の会員は、図鑑を片手に

北海道で鳥の調査を専門にしているM氏やバンドリングの前原さんに電話で鳥の特徴を話し

胸の黒褐色の縦班から、なんとオオタカの幼鳥だということを教えてもらいました。

威嚇するオオタカの口へ、館長と家畜獣医師は、鶏の胸肉をたっぷり入れて食べさせ

ホタル館の芝生の上で、飛び立つことができるかしばらく様子を見ながら写真を撮っています。

そのときには、翼を広げはするものの、飛び立つ様子がないように思えたのですが、

それは、全くの勘違いで、再び、捕獲しようと思う間もなく餌が腹に落ち着いたオオタカは、

翼をビュンとうならせ円空を描くように私たちの目の前を低く滑空して、

あっという間に緑の森の奥に消えてゆきました。

その美しく華麗な羽ばたきは、今でも鮮明に想い出すことができます。



オオタカは、ユーラシア、北アメリカに分布し、日本では北海道、本州、四国で繁殖し

九州、南西諸島に冬鳥として飛来するようですが、

もちろん久米島では、そのときが初記録でした。

鳥を狩って食べるオオタカが生息するためには、

オオタカ一羽に対して久米島全土(約59平方キロメートル)ほどの広さの森、さらには

その森とつながる水辺に生息する多くの生き物たちの多様性に溢れる自然環境がなければ、

あの日のオオタカは生きてゆくことはできないということでした。

仙台の貝ヶ森は、上空写真で見た限り、大きな森から分断された飛び地の森で

まるで、住宅に囲まれた陸の孤島の様です。

このわずかな雑木林に、オオタカの飛来が目撃されたことは、

貴重といわれるオオタカ自体の重要性だけでなく

オオタカの生息を支える生物多様の一端を

辛うじて、この森が、近隣の生きもの達も含めて支えあい、繋がりあう

大切な生息地として貴重に維持されている可能性が高いということが考えられます。



世界に目を移せば、私たちの保全しようという小さな島や森は、本当にちっぽけで

消滅したからといって、どんな影響もありえないと多くの人は考えることでしょう。

たしかに、その保全する場所の生命の多様性を維持できる面積が崩壊すれば、

残念ですが、再生することは不可能になります。

しかし、この久米島も、貝ヶ森にも、現在、わずかな自然が息づき生きもの達が生息しています。

中でも、食物連鎖の頂点に立つ空を渡る鳥の地球環境への関わりは、想像以上に大きく、

海を渡って運び込まれる自然な種子分散への貢献や、鳥の捕食による昆虫の分布拡大と

異常繁殖の抑制など、目ではとらえることは不可能ですが地球環境に適応する能力や進化

に関わる生きものの存在の価値などが、彼ら自身の生存にとってだけでなく、

本当に長い目で見て、私たち人間に、とても大切な深い関わりがあると思うです。

地球を巡る生きもの達は、私たちの想像以上に、切れ目のない

全ての自然環境との繋がりで、維持されています。

渡りの鳥達が、それぞれの繁殖地へ向かう途中に休息をとる事のできる

この小さな南の島の森や、北の小さな森が消滅し続けていったとき、いつかは必ず

たちまち、世界的規模で渡り鳥は減少し消滅してゆくでしょう。

そしてその影響は、渡る鳥とつながる全ての生きもの達へと衝撃となって広がり続けます。



ちっぽけな森や島も、アフリカやアマゾンの原生林も

皆等しく、関わる地球環境の一端を担う大切な自然だということを

多くの人が共通認識として持つことで、自然保護への理解は深まります。

しかし、どんなにそのことを知識として理解できたとしても、

そこに暮らす人々が行動することでしか自然を残すことはできないのです。

何時の時点が大きな転換点であったなどということは誰も解りません。

だからこそ、目の前の自然に問うてみるほかはないのです。 大丈夫かと!

ホタルの国の活動は、ゆるやかに多くの自然保護活動とつながっています。

そのつながりは、そこを残したいと願う住民の願いに架けるつながりです。

自然を守りたいという願いは、貴重な野生生物が、いる、いないに関わらず。

そこで暮らす人々のよりどころであり、気づきの場所である強い思いが大切です。

映像で見る限りの貝ヶ森は、杉林の目立つ人工林ですが、

この小さな飛び地のような緑のつながりが、やがては、

豊かで多様な森を創り出すことができると信じています。

ホタルの国のように恵まれた自然が残っていると多くの人が思っている場所も

残したいという意思がなければ、厳しい現実の前に必ず消滅します。

目の前の自然を守るという小さな歩みは、大げさなことでも、馬鹿げたことでもなく

本当に地球全体の自然環境を守るという大きな意思へとつながる行為だと、私は思います。

あの日のオオタカに出会ってから、今日まで、私たちの歩みは、ゆっくりかもしれませんが、

この久米島の自然を愛する住民がいる限り、止まることはありません。

「ワタシタチノミドリ」への応援は、その願いと想いを同じように感じたことから始めました。

自然を美しいと感じる全ての人に、

その恩恵が等しく、降り注がれることをみんなが望み、実現することができる社会こそ、

私たち人間の目指すべき、地球環境だと考えているのです。

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この記事へのコメント
私の住む三浦でも、時折オオタカが姿を見せますが、到底生活できる場所はなく、その空間もありません。今や、サシバが見られるまともな谷戸さえ壊滅、ノスリが稀になって久しいです。ノスリが好きそうな広い農耕地がありません(以前だったら三浦の台地のダイコン、スイカ畑など)。まさかオニヤンマやアカネ属と同じように、ノスリとかサシバがいなくなってしまうとは(普通にいるときは)思いもしませんでした。
 三浦に比べると、対岸の房総は、まだ多少底力は残るようです。
 林道沿いに、スレート・白のコントラストの素晴らしい成鳥がゴイサギを押さえたり、空中でカケスを見事に横掴みにするハイタカなどよく見られました。
 それでも、最近は気配が以前よりはしません。
 昆虫と同様です。
 一見、以前と同じに見える「山」と「緑」のみが沈黙しているのみです。
Posted by 川逸 at 2007年01月06日 18:38
川逸さん、コメントをありがとうございます。

久米島の当たり前のように観ることができる風景も、
恐ろしい勢いで、変貌を遂げています。

私や、ホタル館の職員が、今、何より不安に想っているのが
4月のクメジマボタルの出現数なのです。

この島を訪れる人々が、まぶしい太陽と青い海さえあれば、
「いいんじゃな~い!」と、この島で暮らすわけではない
無責任さで放つ言葉を、鵜呑みにしてしまう島の人もいます。

鳥の姿が、本当に見られなくなるまでの間に、幾種もの小さな生きもの達が
この島から消えていくことや、それが、結果的に、わが身にどのような現実で降りかかってくるかを、想像することができないのです。

偶然のようですが、今、読み返しているのが、カーソンの『沈黙の春』
まるで、何かを、暗示させるかのようです。

それでも、明日は明日の日が昇ります。
元気を出して生きましょう!
Posted by satou-n at 2007年01月06日 20:11
「沈黙の春」を文庫かで読んだのは中学生の頃だったかですが、そこらへんで色んな鳥とか虫に遊んでもらっていたせいか、予想だにできませんでした。どこか遠い世界のSFみたいな感覚でしたが、今は至って痛感できるからこわいものがあります。
 今年、アキアカネいる?どう?といった会話が毎年飛び交うとわ、げにくわばらすぎ。
 一体何でだか分からないのばかりなので、それが↓な気分ではあります。 
 
Posted by 川逸 at 2007年01月06日 21:02
オオタカの記事を取り上げていただき、ありがとうございます。
あたたかい応援がとても嬉しいです。

オオタカの鮮明な写真を見て、その威厳ある姿に感動しました。
図鑑の写真ではいまいち伝わってこなかった力強さが伝わってきました。
このような珍しい鳥が住宅地の真ん中の緑地に飛来してきていた
ということは、とても貴重なことなのだと改めて感じました。

緑は、自然は繋がっているのですね。
私たちの活動が他の自然のためにもなっている事を忘れずに
活動を続けて行きたいと思います。ありがとうございます!
Posted by midori at 2007年01月07日 00:01
昨年まで、私にとって久米島は、仙台に本拠地を置く東北楽天ゴールデンイーグルスの春季キャンプの地であり、南の楽園を想像させる地でした。
今年のキャンプは、応援がてら久米島を訪れたいと単純に思っていました。

それが、今回の貝ヶ森の宅地造成計画で『ホタルの国から』を知り、satou-nさんの文章を読み、涙が止まりません。私なりに一生懸命考えて生きてきたつもりだったのに、考えが及ばなかった事が、こんな身近にあったとは。

今の社会のルールでは、身近な自然は守れません。貝ヶ森の小さな森も未来に残してあげる事が出来ません。緑に満ち自然との調和ある住環境を未来へ継承する事が我々に課せられた大いなる責務だとうたっている仙台市であっても。

私は、あきらめません。可能な限り智恵を絞って活動を応援して行きたいと思います。   satou-nさんの素敵な文章を楽しみにしています。
Posted by chacha at 2007年01月08日 00:08
midoriさん、chachaさん、温かなコメントを、本当にありがとうございます。

そうですね、言われてみれば、久米島と仙台は,
東北楽天ゴールデンイーグルスという繋がりもあったのですね。
なかなか、感慨深いものがあります。

世の中は、理不尽なことに溢れ、何時何処で、その過酷な状況が
わが身に降り掛かるか知れません、それでも、歯を食いしばり
一生懸命生きてゆくことは、誰のためでもない自らのために
必要なことなのかも知れません。

chachaさんからの「私は、あきらめません。」というメッセージと
midoriさんの活動を続けるという勇気は、
私を含め、沢山の人々を励ましてくれます。
ありがとうございました!
Posted by satou-n at 2007年03月15日 08:58
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